事実、そんな注目株のプレイヤーが階段を駆け上がり、それなりのレベルで戦うことが当たり前になってくると、少しずつ様相が変化していきます。本人は勢いもあって自信満々。それもあり、初めはいい勝負をします。しかし勢いはいつまでも続きません。怖いもの知らずでできていたプレイが、対応されていくことで通用しなくなる。それまでは無縁だった疑念や迷いが生じて、本来の実力が問われるようになっていくのです。
いきなり難易度の壁にぶつかると、対応できない
勢い良く上がってきたプレイヤーは、何かしら光る「生まれつきの資質」を持っています。普通のプレイヤーであれば勝てなくていちいち足止めを食わされるところを、その資質に物をいわせて勝ってしまう。ところが、トントン拍子で上がってきた選手ほど、一度限界にぶつかると伸び悩むのは珍しいことではありません。
勝てないことで自分の問題と向き合い、工夫することで壁を越えていく。そのようにして次の段階へ進むために必要な実力を得ていくのが「凡人」の僕らのやり方です。ところが資質があることで問題点が表面化せずに、必要な実力が未完成であっても先に進んでしまう。
難易度1、2、3……と順に壁をクリアしていって難易度の壁にぶつかることと、1〜9をすっ飛ばして初めてぶつかった壁が難易度が10であることはまるで異なります。それまで何となくできてしまったことによるツケが、まとめて押し寄せてくる可能性があるのです。そして、そこでぶつかった初めての壁が越えられない限界になってしまう。こういったことが起こり得るのです。
適正なタイミングで壁にぶつかることで、限界を乗り越える機会に恵まれる。できないことは、天才にはない凡人の武器だということです。