水の浮力と抵抗のおかげで「ラクなのにスゴイ」

 そして3つ目。水の抵抗があるということも、バス・ストレッチならではの特徴です。水中では、思うように体を動かせません。これは、水中の粘性・抵抗性作用によるもので、陸上に比べて3~4倍の負荷が水中ではかかります。これにより、ハードな筋トレを行わなくても、筋肉を充分刺激することができます。また、素早く動かせば抵抗が強まるいっぽう、ゆっくり動かせば抵抗が弱まるなど、負荷を自分でコントロールできるのもよいところです。
「浮力があるから負担が軽いのに、水の抵抗があるから負荷がかかる」というのは、なんだか不思議な感じがするかもしれません。たしかに、「ラクなのにスゴイ」。そんなに都合のいいことがあるのだろうかと思います。しかし、それは事実です。

 浮力は、下から引っ張られる力を減らします。だから、体にかかる負担が減ります。そして、水の抵抗は、体を動かすときに負荷を生み出します。水中ウォーキングを例にとると、浮力があるから体は軽いけれど、前へ進むことで大腿四頭筋をはじめ、全身の筋肉を使います。体感としてはラクですが、実は筋肉を大いに使っています。これが、「ラクなのにスゴイ」となりえる理由です。

 これらを踏まえると、バス・ストレッチは、ふだん運動をしない方や、体が硬い方には特におすすめだと言えるでしょう。所要時間はたったの10分程度ですが、運動効率は非常に高いです。長時間運動をするのはつらいという方でも無理なく取り組めますし、体が硬くてストレッチを敬遠していた方でもスムーズに行えます。運動する気が起こらないくらい疲れてしまったときにもできます。

 それに、何より気持ちがいいんですよ。凝り固まっていた筋肉がぐ~っと伸びて、体が軽くなります。しかも、その後ちゃんと筋肉が縮むので、体全体がしなやかになります。
 しかも継続することで、日常のちょっとした動作がどんどんスムーズになっていき、「疲れにくい体」を実感されることでしょう。