毎日、何気なく、お風呂に入っていませんか? そうだとしたらもったいない! 「入り方次第でお風呂タイムは治療になる」と言うのは、自律神経や腸の研究の第一人者で「医者が教える長生きみそ汁」の著書もある小林弘幸先生(順天堂大学医学部教授)。
寝ても取れない日々の疲れや、肩こり・腰痛などの慢性的な痛みに、一生悩まされない体を作る、究極のお風呂の入り方を提案した新刊「医者が教える 小林式 お風呂健康法」から、入浴で自律神経と腸の働きを最大限に働きかけるにはどうすればいいのかの、エッセンスを紹介します。

小林式バス・ストレッチとその他のストレッチの決定的違いとは?Photo: Adobe Stock

バス・ストレッチは体の内側にアプローチ

 世の中にはたくさんのストレッチ本がありますが、多くはトレーナーの方が書かれたものであり、医師が関与したものはほとんどありません。内容的にも、柔軟性を高めたり、筋肉をほぐしたりするものが主流です。つまり、世の中のストレッチ本は、運動のパフォーマンスを高めることが第一の目的とされており、体の内側へのアプローチは意識されていないということです。

 そこで、私が考案したのが「バス・ストレッチ」です。医学的見地に基づき、体の内側、すなわち自律神経にアプローチする動きを検証しました。さらに、湯船の中の、血流がよい状態だからこそ相乗効果をもたらす動きを追求。簡単で、しかも気持ちがいいので、女性や高齢者など筋力がない方でもラクラク実践できます。動きはマッサージも含め全部で8種類。トータルで10分くらいが目安です。回数をこなすより、1回1回をゆっくり行うことを意識しましょう。

 また、バス・ストレッチを行うにあたって、大事なポイントになるのが呼吸です。一般的なストレッチは、動きに合わせて呼吸法も指南しているものが多いと思います。
 しかし、バス・ストレッチにはそれがありません。明らかに効果が上がるものに関しては呼吸法を入れていますが、基本的には自由です。とにかく、大きく吐いて、大きく吸う。それだけでOKです。

 というのは、動きに合わせて呼吸法も意識することは、意外と脳のストレスになるからです。バス・ストレッチの最大の目的は、リラックスをして自律神経のバランスを整えることにあります。しかし、細かい呼吸法を守ろうとすると「次は吐くんだっけ? 吸うんだっけ?」と、ついつい考えてしまい、体と心が感じている心地よさを存分に味わうことができません。しかも、バス・ストレッチを行うのは、お風呂の中です。本を見ながら実践するのは難しいでしょう。したがって、なるべくシンプルに、動きだけを意識して実践していただければと思います。

 なお、全8ポーズにおいて、姿勢は基本的に自由ですが、なるべく骨盤を立てるようにするとよいでしょう。姿勢がよくなり、それにともなって気道もストレートになるので深い呼吸がしやすくなります。具体的な動きについては、本書で解説していますのでご覧ください。