『役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた』の著者でクレーム対応のプロ、山下由美さんがこれまでにない画期的なクレーム対応の話しかたを初公開。「怒鳴る」「キレる」「自分が正しいと言い張る」「理詰めで責める」「言い分が見当違い」「多人数で取り囲む」「シニアクレーマー」などあらゆるお客さまからのクレームを、たったひと言「そうなんです」と言わせるだけで解決します。

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「上司を呼べ!」「社長を出せ!」と恫喝されるパターン

 お客様さまに要求に応えられないことを伝えると、「お前じゃダメだ」「社長を出せ!」と怒り始めることがよくあります。一般のお客さまが激怒しているだけなのか、悪質クレーマーによる意識的な恫喝なのかによって対応は違ってきますが、いずれも対応者の権限の範囲などのフレームを決めておくことが大切です。

 自分に与えられた権限の範囲で対応可能なクレームであれば、「今回の対応の権限は私に与えられています。会社の規定によるものですので、上司でも社長でも、対応は変わりません」と伝えて様子をうかがいましょう。

 そこで、お客さまが上司や社長を呼ぶことをあきらめ、自分の力で怒りを鎮めることができそうであれば、そのまま最後まで責任を持って対応します。具体的には、お客さまの気持ちを代弁するなどして「そうなんだよ」「そうなんです」といったYES言葉を引き出し、こちらを「敵」ではなく「味方」と認識してもらうように努めます。YES言葉を引き出した時点で、お客さまの怒りはほぼ解消されます。

 一方、そのような対応ができそうでも、自分の権限を越えた内容の要求であれば、お客さまの訴えをしっかりと聞き取ったうえで、あとは上司に任せるようにしましょう。

 たとえば、店内でお客さまがケガをした場合、「医療費までは店長判断、休業補償は本部判断」という権限になっていたとしたら、お客さまから休業補償を求められたときは、必ず本部に指示を仰ぐようにします。

 できれば、対応そのものも、本部の担当部署にゆだねたほうがいいでしょう。権限のある部署が直接話すほうが、伝言ゲームによる誤解が生じにくく、早く解決できるからです。

 以上は一般的なクレームの範囲にとどまるものですが、なかには「いいから社長を出せ!」の一点張りの人もいます。悪質クレーマーとして扱うのは気が引けるのですが、シニアのクレームでありがちな光景です。「地位の高い人が対応にあたった」「社長と知り合いになった」ことで承認欲求を満たしたいという気持ちが根底にあります。

 そのため、言われたとおりに上司や社長を呼ぶと、その後も事あるごとに上司や社長を呼びつけるようになり、業務に支障をきたすようになったケースも実際に起きています。相手が悪質クレーマーだと感じたら、専門の担当者に引き継ぐ。もしくは上司を呼ぶのであれば、そのクレームに直接関係している範囲の上司にとどめましょう。そうでなければ、覚悟を決めて、相手の根が尽きるまで「呼び出せない」と断り続けてください。