ブロックチェーン技術を生かして
本人を100%担保する電子署名サービス
――日本にもクラウド型の電子署名サービスがあります。違いはどこにありますか。
blockhive CEO
1988年生まれ。2012年、デジタルガレージ主催のTED meets NHKで「The next stage of social capital」と題したスピーチを行い、そこで触れたデジタル上でソーシャルキャピタルの可視化をする「評価経済システム」の研究開発のために起業。2013年、Rippleを利用したプロジェクトに携わることをきっかけに、ビットコイン・ブロックチェーン技術と出会う。2017年、エストニアに拠点を移し、blockhive OUを設立し、デジタルIDとスマートリーガルコントラクトを活用した独自の資金調達モデルILPの開発などを行う。e-Residencyチームとともにエストコインプロジェクトの検討委員会メンバー、エストニアICOサンドボックス策定チームのメンバーも務める。今年3月、日本の事業会社を設立し、デジタルIDとブロックチェーンを活用したソリューション提供などのサービスを開始。
編集部注:2020年8月、blockhiveは社名をxIDに変更している。
電子契約ができるという点では同じですが、根本的に違うのが、「誰がサインしたのか」「誰がはんこを押したのか」という本人確認の部分においてです。既存サービスの多くは、本当にその人なのか、本人性が曖昧です。
もう少し詳しくいえば、アカウント開設した人が本人かどうか、契約書に本当に電子署名をしたかどうかがよくわからない、ということです。たとえば、経営者がアカウントを共有して会社の秘書に署名を任せているケースもあるかもしれませんし、複数アカウントを作成していたり、なりすましができてしまったりするかもしれません。
そもそもIDとはアイデンティティーのことで、一人一人固有に割り当てるべきものです。エストニアでは、自分の身分を誰かに提供してはならないと法律で禁じられています。つまり、デジタルIDを貸与はできない。はんこを貸すことができないということです。その点、e-signは、本人を間違いなくその人だと担保できる点が他サービスとは違います。
また、その役割も異なります。従来のサービスは、契約マネジメントサービスが多いように思います。僕らが提供しているのは、いわゆるデジタルIDを使って電子署名をできるという機能です。ポンと判を押す部分をデジタル化して、その本人性を守っているということです。
――セキュリティーはどう担保しているのでしょうか。
エストニアが国家として取り入れているように、データ改ざんのできないブロックチェーン技術を用いて、契約締結日などタイムスタンプ情報を取得して記録しています。従来の技術では有効期限が5年間程度だったのですが、ブロックチェーン技術により、半永久的に記録できる。つまり、確実に「あなた」がサインしたことをこの仕組みの裏側で証明しているのです。
また、登録時には他の認証機関と接続しますので、データはすべて暗号化します。僕らのデータベースやサーバー上には、個人情報が個人を識別できる状態で残ることはありませんし、会社の誰も個人情報にアクセスできない仕組みとなっています。