会見で“止血”できる企業、できない企業
もしものときの命運を分ける組織づくり

 不祥事や問題が起こらないに越したことはないが、もしものときはどうすればよいのか。SNSの拡散力が高まってきたこともあり、世論はいつ、どう転ぶかわからない。「もはや危機管理マニュアルは機能しない」という専門家もいる。

 これまで以上にスピーディーな対応が望まれる今、まずは「傷が浅い段階で止血できる」(前出・山見氏)組織づくりが不可欠だ。現場で起きた問題を現場に近い管理職が正しく処理し、さらに上層部へきちんと情報を上げることができるかどうか――。それが問題が起きたときの企業の生命線となる。

 とはいえ、有事のときこそ正しい情報は上がってこない。渦中の人であるほど、情報を上げることが自分の不利益になりうるからだ。先の吉本興業の闇営業問題が大騒動に発展してしまった要因は、「金銭は受け取っていなかったとウソの発表をしてしまったこと」だった。山見氏は、情報を「複数ルートから上がるようにしておくことが重要」と話す。できる限り多様な視点から情報を集め、きちんと正確性や時系列を整理した上で、会社としての公式見解をつくることが重要だ。網羅的な公式見解があれば、それを軸に顧客や関係者、社員に対する説明や、記者の質問への回答を行うことができる。

「会見の目的はメディア対応ではない。その先のお客さまや社会に対する説明責任を果たす機会だと、本質を理解すべき」と山見氏。

 会見の場で誠意を持って謝意を表明し、十分な説明と具体的な今後の対策を発表することができれば、ダメージを最小限に食い止めることも可能だ。企業は炎上を恐れるが、SNSを味方に状況を好転させる企業も決して少なくない。