(証明)
ある2ケタの正の整数の十の位をaとおき、一の位をbとおくと、2ケタの正の整数は10a+bと表される。
十の位と一の位を入れ替えた数は10b+aと表される。
このとき、2つの数の和は
10a+b+10b+a=11a+11b=11(a+b)
a+bは整数だから、11(a+b)は11×整数となり、これは11の倍数である。よって、2ケタの正の整数と、その数の十の位と一の位を入れ替えた数をたすと11の倍数になる。
(証明終了)
中2で習う内容にしてはなかなか難しいと思われた方もいらっしゃると思います。
実際、中学数学の教科書レベルの問題のなかでは難しい部類に入ります。この問題を、証明に慣れていない生徒が解くと、次のような間違った解答になる場合があります。
(間違った証明)
ある2ケタの正の整数の十の位をaとおき、一の位をbとおくと、2ケタの正の整数は10a+bと表される。
10a+b+10b+a=11a+11b
11a+11bは11の倍数である。
(間違った証明終了)
この生徒の書いた解答では、まず、十の位と一の位を入れ替えた数は10b+aと表されることが説明されていません。それを説明せずにいきなり、10a+b+10b+aの式を計算しているので、説明不足の印象があります。
すなわち、論理の飛躍があるということです。
また、本来なら11a+11b=11(a+b)としてから11の倍数であることを説明するべきであるのに、11a+11bは11の倍数であると結論づけてしまっています。
11aと11bは11の倍数ですが、11の倍数どうしをたすとどうして11の倍数になるのかの解説が不足しているのです。
これらの説明不足や論理の飛躍は、実際の試験などでは減点対象になります。
先ほど正答として紹介した証明では、無駄な部分もなければ足りない部分もありません。このような条件を満たして初めて、論理的な証明ができた、ということになります。
こうして見ていくと、数学の証明問題は論理のトレーニングそのものであることがご理解いただけると思います。