ビジネスフレームワーク集08
Illustration by Wu-tang

「変動制(Volatility)」「不確実性(Uncertainty)」「複雑性(Complexity)」「曖昧性(Ambiguity)」の頭文字を取った「VUCA」の時代といわれるように、世界はますます混沌を極めている。正解がそもそも「存在しない」状況だ。「論理か創造か」ではなく、「論理も創造も」必要な時代なのである。2020年1月13日(月)まで全10回でお届けする特集「新時代版ビジネスフレームワーク集」の第8回は、VUCAワールドを生き抜くための最重要キーワードを紹介する。

「週刊ダイヤモンド」2019年9月28日号の第1特集を基に再編集。肩書や数字など情報は雑誌掲載時のもの

VUCAワールドを生き抜くための
最重要12キーワード

 今回ご紹介する現代の最重要キーワードは次の12個だ。

(1)ビジョン(あるべき状態)、(2)ストーリーテリング、(3)VUCAワールド、(4)イノベーションの条件、(5)バウンダリー・スパニング、(6)アナロジーとメタファー、(7)エラー、(8)セレンディピティ、(9)遊び心、(10)ユーモアと心理的安全性、(11)デザイン・フィクション、(12)ムーンショット

 では、早速ご紹介していこう。

 

ビジョン(あるべき状態)

 特集第2回【問題解決力」がアップする9つのフレームワーク!】の「As is/To be」で解説したように、ロジカルシンキングの世界では、「問題」を「現状とあるべき状態とのギャップ」と定義するが、そもそも「あるべき状態」を描くことができないと、問題を提起することもできない。日本人は問題を解くことには長けているが、問題を自ら提起することはほとんどやってこなかった。その理由は「あるべき状態(ビジョン)の欠如」にある。

 戦略デザインファームBIOTOPE代表の佐宗邦威氏は、売り上げや市場、株主、競合他社など「他者」ばかりを見ていると、自分がどう感じるかよりも「どうすれば他人が満足するか」ばかりを考えるようになり、自分たちのビジョンを見失うと指摘する。ビジョンがなければその組織からはエネルギーが失われていき、数年後には経営状況にも響いてくる。

 これを防ぐためには、自分の好きなこと、ワクワクすることに向き合う。あえてマーケティング等の論理から始めず、直感や創造を優先してビジョンを掲げる。

 ビジョンさえ掲げれば、次は論理の出番だ。現状とビジョンの差を分析し、問題を明確化。ビジョンの具体化を一気に進める。ビジョンが、直感などの「創造的な思考」と「論理的な思考」の橋渡しをする。

「論理か創造か」ではなく、これからの時代は「論理も創造も」必要なのである。あるときは論理と創造を組み合わせ、あるときは論理と創造を行き来しながら、思考をデザインする。本パートで紹介するキーワードを取っかかりにして、思考をデザインするコツをつかもう。