お客様の事前期待に合わないものはサービスではない!

 ソーシャルメディアの有効性が徐々におわかりいただけてきたかと思いますが、お客様の心を惹きつけるような素敵なサービスを実現するにはどうしたらよいかを少し考えてみたいと思います。みなさんは、「サービス」の定義をご存じでしょうか?

  サービスサイエンスに関する研究会のメンバー間でのディスカッションでは、概念を人だけではなく、モノにも拡張して「人や構造物が発揮する機能で、ユーザーの事前期待に適合するものを『サービス』という」とサービスを定義しています。つまり、人が提供するものだけでなくコンピュータや機械などが提供するものもサービスだということです。

  そして、この定義を前提にすると「お客様の事前の期待に合わないものはサービスではない!」ということになります。私は、サービスサイエンスのもっとも大事な部分=「エンジン」は、この事前期待の考え方にあると言っても過言ではないと考えています。

  事前期待は「事前期待の内容」、「事前期待の持ち方」、「事前期待の持ち主」の3つの要素に分解でき、そして事前期待の持ち方にはさらに次の4つに分類できると言われています。

  (1)共通的な事前期待
  (2)個別的な事前期待
  (3)状況で変化する事前期待
  (4)潜在的な事前期待

  (1)の「共通的な事前期待」とは、そのサービスを利用しようと考える誰もが必要としている内容になります。

  (2)の「個別的な事前期待」とは、お客様それぞれの固有のニーズです。これは、お客様個人の好みをデータベース化することで応えることが可能になります。

  (3)の状況で「変化する事前期待」は、お客様との会話やメールのやり取りから判明する場合が多いです。少ない会話の中から的確にお客様の期待を読み取らなければなりません。

  (4)の潜在的な事前期待は、お客様本人が気づかない場合も多く、お客様のペルソナを具体的にイメージし、お客様の立場に立って考えることで、お客様にとってふさわしいサービスを考えることができるようになると思っています。