原油価格大幅上昇で中国成長率6%割れ
円高はあまり進まず
原油価格の大幅な上昇は、コストアップを通じて世界最大の原油輸入国である中国経済の減速に拍車を掛けることになるだろう。現在、GDP(国内総生産)成長率は6%前後にまで低下しているが、高値での推移が続けば、6%割れもあり得るかもしれない。
為替相場についていえば、円高が一方的に進むことは考えにくい。原油価格上昇は、日本の貿易収支の悪化要因であり、円安要因となる。リスクオフによる円高との綱引きとなるため、事態が激化しても1ドル=100円を割るような事態には至らないだろう。
昨年10月以降、世界的に上昇基調にあった株式市場は反落し、調整局面入りとなるだろう。
米中の貿易協議の部分合意などでリスクオンに傾いていたが、予定通りに15日に合意が署名された後の米中協議の進展は期待しにくい。今後の米中協議の焦点は、産業補助金など中国の国家資本主義体制の核心に関わるため、中国の譲歩は考えにくいからだ。好材料一服に加え、中国経済などの減速が相場の頭を抑える。
一方、交戦状態に陥らずに済む可能性もある。イランのザリフ外相は、米軍基地攻撃後「自衛のための対応を完了した。戦争は望まない」と発言した。米国が報復を自重すれば、緊張関係は続くが、本格的な武力衝突は避けられるだろう。
その場合、原油価格は現状水準で高止まりする公算が大きい。株価も大きく反落することはないだろう。円の対ドルレートも1ドル=100円台後半での動きにとどまるとみられる。