ウイルスより
人間のほうが恐ろしい

 今回、中国で猫や犬への虐待は、なぜ、起きたのか。

 前述した通り、言うまでもなくデマやパニックにより、人々が理性や正常な思考力、判断力を失っているからだ。恐怖心から、人はちょっとのことで暴走しやすくなっているのだ。

 先進国で倫理的であるはずの欧米で発生した「マスクを付けたアジア人女性に対する暴力」や「アジア人差別」なども、その一例といえるだろう。

 猫や犬の犠牲は、新型肺炎パニックの象徴なのである。

 現在、中国各地の政府が自分の管轄区域に感染を広げないように必死になっている。どんな手段を講じてでもウイルスを閉じ込めようとするあまり、過剰ともいえる措置を取っている。各地の行政担当者は責務を果たしているわけだが、同時に自己保身と、上層部への「忖度」のためでもある。こうした過剰な状況が常態化することで、常識が麻痺していくことが恐ろしい。

 そもそも非常時には、人間よりも、動物が真っ先に理不尽な被害者となるのが世の常だ。

 普段は「ペットは家族の一員」とは言うものの、いざという時は、人間が最優先される(かつて私が涙を流しながら見た、高倉健主演の映画『南極物語』のタロとジロも、一種の緊急時の被害者であろう)。人々も自己中心的となる。今回の新型コロナウイルス肺炎は、前回のSARSのときと同様に、野生動物に由来するのではないかと疑われている。この一連の騒動は「人間の身勝手な行為により生じたもので、大自然から人間への復讐かもしれない」との声さえある。

「ウイルスより人間の心の闇のほうが恐ろしい。動物の悲劇から人間の汚い部分が見えてきた」と、中国のSNSは、このような嘆きであふれている。