減益の大きな要因は「これ」だった

 次に、ZOZOの成長性を表す商品取扱高を、出荷件数平均出荷単価に分けて分析してみます。

 出荷件数は継続して増加傾向にあります。一時期はアパレル各社の「ZOZO離れ」が相次ぎましたが、その事態はすでに収束し、出店数は順調に増えています。出店数の増加に応じて、出荷件数も増えているのでしょう。下図を見てください。

ZOZOの営業利益はなぜ減り続けているのか?

 一方、平均出荷単価は減少傾向にあります。低単価の商品やセール品に購買者が集まっていることが考えられます。値引きをしなければなかなか売れないのが現状なのかもしれません。下図を見てください。

ZOZOの営業利益はなぜ減り続けているのか?

 以上のように、売上高が増加しているので、順調に成長しているように見えますが、その実態は、「単価」の下落を「数量」でカバーしているにすぎないのです。
 
 「数量」の減少であれば、変動費も同時に減少するため、利益に与える影響は限定的です。しかし、「単価」の下落は、基本的に変動費の減少を伴いません。つまり、ダイレクトに利益にマイナスの影響を与えてしまいます。

 ZOZOの変動費と言えば、販管費全体の半分近くを占める「物流関連費」と「荷造運賃」です。下図を見てください。

ZOZOの営業利益はなぜ減り続けているのか?

 これらは、ZOZOの物流倉庫内における、商品の荷受・検品・採寸・棚入れ・ピッキングといったアルバイトに支払う人件費や、物流倉庫から客先への商品発送という外部の運送業者に支払う配送料です。

 つまり、「物流関連費」と「荷造運賃」の性質としては、「数量」の増加に応じて膨らむコストです。「単価」が下がったからといって減少するものではありません。この結果、相対的にコスト負担が増えているものと考えられます。