スタートアップは「信頼関係の繋がり」で機能している

小林:僕は、シリコンバレーの著名VCや起業家に関してよく言われる、「インナー・サークル」に対しても、ある種神話的だと感じています。一般的に、インナー・サークルはネガティブに捉えられがちですが、要は、「信頼関係の繋がり」のことだと思います。

様々な地域から、様々な人が来るベイエリアでは、お互いにリファレンスを取らなければなりません。「あの人が言うなら、この人に会おう」というような信頼関係の積み重ねこそが、インナー・サークルの正体です。インナー・サークルとは、現地に根付き、ひとりひとりと丁寧に人間関係を築いていくことにより、次第に勝手に入っていくものだと思います。

朝倉:日本でもそれに近いところがあるかもしれませんね。日本のスタートアップコミュニティにも確かにインナー・サークル感はあり、外部からは「起業家も投資家も仲良しグループで群れており、排他的でくだらない」と思われている節もあることでしょう。一方で、これもまた「信頼関係の繋がり」なんだと思います。組織に頼らず、自分自身の足で立って市場を切り拓いていかなければならない起業家だからこそ、同じ境遇の人たちに対するシンパシーがありますし、困ったことがあれば助けようとする互恵関係ができあがっているのではないでしょうか。

もしも、本気で起業を成功させたいと思うのなら、そうした互恵の輪に切り込むだけの営業力や突破力がない人が、世の中を変えるような事業をつくるというのは、なかなか難しいことなんじゃないかと思います。

本日はありがとうございました!

小林:はい! ありがとうございました。

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小林清剛(こばやし・きよたか)
Chomp, Inc.  Co-founder and CEO
1981年生まれ。大学在学中にコーヒーの通販会社を設立。2009年にスマホ広告事業の株式会社ノボットを設立し、2011年にKDDIグループへ売却。2013年に米国サンフランシスコにてChomp Inc.を設立し、現地でスタートアップをしている。また、2015年にTokyoFoundersFundを共同設立し、米国を中心に30社前後の企業に投資をしている。

*本記事はVoicyの放送を加筆修正し(ライター:代麻理子 編集:正田彩佳)、signifiant style 2019/9/15に掲載した内容です。