コミュニティが持つカルチャーの重要性
小林:別の視点として、普段一緒に過ごしている友人同士のコミュニティが持つカルチャーも重要だと思います。日本のスタートアップ業界でもそうですが、普段仲良くしている友達同士で、「このメンバーの事業は皆、うまくいきそうだ」と考えたり、「ここにいるメンバーは優秀だ」とお互いに感じ合ったりするように、お互いにプラスの影響を寄与しやすいコミュニティ感というものが存在すると思います。一方、周りがネガティブな意見を言う人が多いと、自分の考え方もネガティブになりがちです。
よく言われる「企業のカルチャー」だけではなく、スタートアップにとって、普段一緒にいる友人同士のコミュニティが持つカルチャーの存在も大きいのではないでしょうか。そのコミュニティの共通する物の見方や考え方が、自然と自分にも影響を及ぼしている気がします。例えば、「どうして、日本ではなく、わざわざサンフランシスコでやるのですか?」とよく聞かれますが、僕の周りの友人は、サンフランシスコでスタートアップをすることが難しいとは思っていませんし、反対に、すごく楽しくて意義があることだと思っています。
朝倉:ベイエリアの日本人スタートアップコミュニティはどのような状況ですか?
小林:Ramen Hero創業者の長谷川浩之さんはAngelPad(米国著名アクセラレータ)を卒業しましたし、Anyplace創業者の内藤聡さんは、ジェイソン・カラカニス氏のシードプログラムに参加していて、それぞれに資金調達も成功させています。他にもPlanogy創業者の中屋敷さんがSky Deck(UCBerkeleyのアクセラレータ)に参加していますし、実績も出始めています。また、同じく仲良くしているAutify創業者の近澤 良さんもAlchemist Accelerator(BtoB特化のアクセラレータ)を卒業しています。
僕は、以前から、「サンフランシスコで日本人スタートアップ創業者が成功する再現性」をつくりたいと考えているのですが、そのうちの10〜20%の再現性は既につくれて、回り始めてきているように感じます。