分析ではまず会話中の「単語」の繰り返し、および「トピック」の繰り返しをそれぞれ自然言語処理および機械学習技術を用いて定量化した。続いてそれらを、「1回の会話」内で繰り返されたケースと、「異なる2回の会話」間で繰り返されたケースに分けて調査。後者の2回の会話については、会話間の日数、および、会話間の回数でそれぞれ別に傾向を比較した。
検討の結果、「単語」「トピック」ともに、一定期間の日数をあけた2回の会話間における繰り返しの程度が、アルツハイマー病患者と健康な高齢者との間で最も大きく違っていた。特に、約7日間間隔があいた2つの会話間での「トピック」の繰り返しの程度を比較したときに識別力が最大となり、ROC解析による曲線下面積(AUC)は0.91に達した。また、先行研究で示されている「テキスト特徴量」による識別力と比較しても、一定期間あけたときの単語・トピックの繰り返しの程度による識別力の方が高かった。
これらの結果について山田氏らは、「アルツハイマー病患者では、イベント発生後の時間経過とともに、健常高齢者との記憶の差が大きくなると考えられる。本研究で示された日常会話の中での『話の繰り返し』も、その現象が顕在化したものと考えられる」と述べている。そして、「日常会話を継続的にモニタリングし、異なる日での話の繰り返しを自動的に定量化することで、アルツハイマー病の検出、あるいは早期発見に活用できるかもしれない」とまとめている。(HealthDay News 2020年2月17日)
Abstract/Full Text
https://mental.jmir.org/2020/1/e16790/
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