27日、安倍首相は感染症対策本部において、ようやく全国の小中学校・高校・特別支援学校に対し、3月2日から臨時休校を要請する考えを示したものの、実際に休校するか否かは、学校や地方自治体の判断によるものとされています。

コロナウイルス対応の体制は
早く官邸主導に変えるべき

 以上のように、厚労省の3つの過ちは、景気はもちろんあらゆる面で日本に大きな悪影響を与えるリスクが大きいのです。

 繰り返しになりますが、この厚労省の過ちにより、政府の対策の内容は話にならないレベルのひどさになっています。私が一番憤っているのは、感染の可能性が間違いなく高い通勤ラッシュの満員電車は事実上容認しながら(企業へのテレワークや時差通勤の要請と駅での同趣旨のアナウンス程度です)、イベントについては中止を要請していることです。こんな論理矛盾も甚だしい政策対応をしている限り、誰も政府を信頼しないはずです。

 このひどい状況を変えるには、厚労省の役人に任せず、加藤厚労大臣か総理官邸が政治のリーダーシップを発揮するしかありません。加藤大臣はどうも役人の言いなりになっている雰囲気があるので、総理官邸が野党の疑惑追及への対応よりもこちらに政治的リソースをもっと割き、官邸主導で対応するしかないのではないでしょうか。

 これまで安倍政権の強みは経済と危機対応でしたが、昨年の消費税再増税以降、明らかに景気が下降線を辿りつつある中で、コロナウイルスへの危機対応で失敗の烙印を押されたら、政権にとって致命傷となりかねません。

 そして、私たち国民の観点からは、厚労省の対応がまったく信用できない以上、できる限り多くの情報を収集し、自分なりに正しいと納得できる行動基準をつくって、自分の身は自分で守るようにしなければならないでしょう。

 いずれにしても、今のままだと3月は景気がかなり悪くなり、社会が混乱するであろうことを覚悟して、いろいろな意味で今から身構えておくことが必要ではないでしょうか。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)