国民に政策を説明する際の
コミュニケーション能力の低さ
第二の過ちは、国民がパニックを起こしかねない危機的な状況にもかかわらず、厚労省は国民に対してわかりやすく説明する努力を怠っていることです。
もともと厚労省は、政策を国民にわかりやすく説明するという意味でのコミュケーション能力が非常に低い役所です。それは、「ねんきん定期便」で送られてくる文書のあり得ないくらいのわかりにくさからも一目瞭然です。問題は、厚労省が今回のような緊急事態でもそれを改善しようとしていないことです。
メディアは玉石混交の専門家を呼んで毎日大々的に報道していますし、ネット上でもさまざまな情報が飛び交っているので、国民は多くの疑念を持っています。私だって、なぜ日本は韓国やスペインほど徹底した対応を行わないのか、なぜPCR検査の件数が韓国と比べて異常に少ないのかなど、疑念だらけです。
それにもかかわらず、厚労省の毎日の記者発表の様子を見ていると、事務方ばかりが出席・説明していて、感染症の専門家が同席し、科学的な見地も含めて国民の疑念に丁寧に応えているようにはとても見えません。
しかし、それでは国民は「基本方針」の対策に納得しないし、また国民や企業の行動基準にも大きなブレが生じます。
たとえば私は、重症化率や致死率を見る限り、コロナウイルスは通常のインフルエンザの延長であり、もともと日本で年間3000人がインフルエンザで死んでいる事実も考えると、コロナウイルスをそこまで深刻に捉える必要はないと思っています。しかし、逆に深刻に捉えている人もかなりたくさんいると思います。
そうした状況を放置すると、福島第一原発事故以降、ネットでさまざまなデマ情報が出回り、自称「原子力専門家」がたくさん生まれ、今も原発を巡って混乱が続いているのと同じ状況になりかねません。