OECD(経済協力開発機構)は、2日に新型コロナウイルスの感染拡大を受けた世界経済や主要国経済の成長率の見通しを発表した。日本の20年の成長率見通しは、前回11月の発表時点より0.4%ポイント引き下げられ0.2%だった。
日本以外の主要国の見通しでは、当然ながら中国の落ち込みが激しい。前回より0.8%ポイント低い4.9%となった。
2月29日に中国国家統計局が発表した2月のPMI(購買担当者景気指数)は、製造業が35.7(1月50.0)、非製造業が29.6(同50.5)と、景気判断の分かれ目である50を大きく割り込み、過去最低を記録した。
ウイルス封じ込め策によるサプライチェーン寸断、人の往来が滞ることによる消費減退の深刻さが如実に表れている。あまりの大きな落ち込みに、実態はマイナス成長ではないかとの声も出始めた。
ユーロ圏、英国、米国などいずれの主要国も予測が引き下げられており、20年の世界経済の成長率も2.4%と前回より0.5%ポイント引き下げられた。
この予測は、中国以外の国での伝染が抑えられることが前提になっている。現状はその前提より悪化している。もしアジア太平洋地域と先進諸国全体で、中国並みの感染拡大となれば、20年の世界経済の成長率は1.5%まで下落する可能性があるとOECDは予測している。
OECDが懸念するような事態になれば、日本では中小企業を中心に倒産が増えるだろう。そうなれば、融資の焦げ付きが増え、経営が圧迫される金融機関も出てくる。その先に待っているのはマイナス成長、深刻な不況だろう。
金融政策だけでなく、財政政策、医療体制拡充など感染抑制に向けた施策を早急に講じるべきだ。一刻の猶予も許されない。