このように、感染すると誰でも周囲の人に感染させる可能性はあるものの、その環境には一定条件があることも分かってきた。

 感染者の濃厚接触者が発症するかどうかを追跡した保健所の疫学調査によると、換気のよい場所なら、重症・軽症にかかわらず約80%が、他の人に感染させていないのだ。

 反対に、ライブハウスやスポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テントなど「屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上交わること」によって、「一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告」されている。

風邪の症状のある人は
外出せずに自宅療養を

 こうした状況を踏まえて、専門家会議では、発熱やせきなどの軽い風邪症状が出た場合は、いきなり医療機関を受診するのではなく、まずは外出せずに自宅で療養することを国民にお願いしている。

 風邪の症状が出ると「もしかしたら、新型コロナウイルスに感染しているのでは」と不安になっても当然だが、病院や診療所の待合室は、感染リスクの高い「屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上交わる」という条件を満たす空間だ。

 感染者が医療機関の待合室に長くとどまると、集団感染を起こしかねない。また、診療所や病院は、もともと体力の低下した高齢者や基礎疾患を抱えている人がやってくる場所で、それらの人が感染すると重症化する危険もある。

 現状、新型コロナウイルスの特効薬はなく、検査をして感染が分かったとしても、治療は対症療法しかない。それなら、市販薬などを服用して、家で安静にしていても同じだ。

 新型コロナウイルスを疑った軽症者が、病院や診療所に押し掛けると、本当に治療の必要な重症者が適切な医療を受けられなくなり、彼らの命を危険にさらす可能性もある。

 そこで、専門家会議は、「37.5度以上の発熱が4日以上続いている(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む。高齢者や基礎疾患のある人は2日以上)」「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある」場合を受診の目安として、都道府県の保健所などに設置されている「帰国者・接触者相談センター」に相談するように促している。

 そして、軽い風邪症状の人は新型コロナウイルスである可能性も考え、外出を控えて、自宅で療養しながら様子を見ることをお願いしているのだ。

 こうした自宅療養の考えは、感染拡大のスピードを抑え、重症化しやすい高齢者や基礎疾患のある人を守り、医療の提供体制を維持するために適切な判断といえるだろう。

 このとき、ひとつ気になるのが、会社員が新型コロナウイルスに感染して自宅療養した場合の休業補償だ。