協議決裂を受けて、リスクオフ(投資家がリスクのある資産への投資を控える状況)の流れに拍車が掛かった。安全資産とされる円に資金が流入し、対ドルレートは急激に円高に振れた。9日には一時、前週末より約4円高い101円台を付けた。日経平均株価も急落し、2万円の大台を割り込んだ。

 原油価格の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)も急落した。9日には一時、前週末比で14ドル前後安い、27ドル台を付けた。

 原油価格急落は、株式市場も揺さぶった。折からの米国での感染拡大に、原油価格下落によるエネルギー関連企業の業績悪化懸念が加わり、ニューヨークダウは前週末比2013ドル安と史上最大の下げ幅を記録した。

 一方、景気悪化懸念の高まりもあり、円同様に、安全資産である米国債へマネーが流れ、10年国債利回りは、0.495%まで低下(価格は上昇)した。

 崩落ともいえる市場の惨状を目の当たりにして、政策当局も動いた。トランプ米大統領は10日に経済対策を発表すると表明し、安倍晋三首相も10日に2020年度補正予算編成を含めた経済対策の実施を示唆した。こうした財政政策に向けた動きを好感し、10日は、日経平均株価は反発、ニューヨークダウも1167ドル上昇した。円の対ドルレートも円安に転じ、104円台まで値を戻した。