一方、新型コロナウイルスの感染者に対する抗ウイルス薬として開発中のremdesivirは、Gilead Sciences社が2月26日に臨床試験の開始を報告しており、ワクチンよりも早く使用できるようになる可能性が高いとみられている。同薬の基礎研究では、期待の持てそうな結果が示された。Fauci氏は「remdesivirの効果の有無に関しては、まもなく結果が出るだろう。もし効果が認められれば、有効な治療薬を供給できる」としている。

 朗報は他にもある。既に承認されている31種類の抗ウイルス薬がCOVID-19にも有効である可能性を、欧州の共同研究グループが「International Journal of Infectious Diseases」2月18日オンライン版で報告したのだ。同グループは「新型コロナウイルスに対する抗ウイルス薬やワクチンを新たに開発するよりも、既存の抗ウイルス薬の適応をCOVID-19にも広げる方が、市場に流通させやすく、コストも抑えられ、臨床で使用可能になるまでの期間も短縮できる」との見解を示している。

 そのほか、米マサチューセッツ州のバイオテクノロジー企業Moderna社は、既に米国立衛生研究所(NIH)の研究グループが設計したワクチンを製造し、出荷したことを明らかにしている。また、米フィラデルフィアのバイオテクノロジー企業Inovio社や、製薬業界のリーダー格であるJohnson & Johnson社もワクチンの開発に取り組んでいる。

 過去にもジカ熱やMERS、SARSなどの流行時に数多くのワクチンが開発されたが、臨床試験に進む前に流行が終息したため棚上げされたものが少なくない。しかし、COVID-19のワクチンについてLipsitch氏は「感染は長期化しそうだ」との予測を示し、「実際に使えるようになるまで1年以上はかかる可能性が高いものの、ワクチン開発の取り組みが無駄になることはないだろう」と話している。(HealthDay News 2020年3月2日)

https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/vaccine-news-689/harvard-spearheads-international-effort-to-understand-fight-new-coronavirus-755267.html

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