冬場にタピオカが売れない
もっともな理由

 そんななかでも、業界全体で取り組んだのが、「冬場のホットメニューの普及活動」だ。だが、効果は今ひとつだったという。

「“冷たい飲み物”というイメージが強いタピオカの固定観念を払拭しようと、どこのブランドでも、店先にホットメニューの看板を出すなどして、アピールをしてきました。しかしタピオカドリンクは、そもそもが台湾生まれ。台湾は日本のような“冬”が存在せず、1年を通してあたたかな気候ですから、ホットメニューはありません。本場でも“ホットタピオカ”がはやった事例がないため、うまく軌道に乗せることができず、冬の訪れとともにブームも終息していったのだと思います」

 さらに、第3次ブームの特徴でもある「ドリンクスタンド」という形式が、冬場の売り上げの落ち込みを加速させてしまった。

「どれだけ商品が温かかろうと、飲む場所は寒空の下ですからね。そうなると、“何を飲むか”より、“どこで飲むか”が重視されます。暖房の効いた店内や座席を持たないタピオカ店は、どんどん客入りが悪くなってしまったわけです」

 ブーム真っただ中においては回転率が高いことが利点だったが、冬場になるとそこが足を引っ張ってしまう。梅村さんは「今後のタピオカ専門店は、座席を持つことが勝機につながるかも」と分析する。

「ブームが落ち着いた今でも、カフェ形式の『春水堂』は、平日の昼間なのに都内店舗では半分近くの席が埋まっています。昨年オープンした『THE ALLEY 渋谷道玄坂店』という旗艦店も、2階建ての店内に座席を多数設置し、休日には満席になるほど。座席があれば休憩目的で立ち寄る人が必ずいるので、安定した売り上げにつながるかもしれません」

 梅村さんは、これまでの傾向を踏まえて、タピオカ店の未来をこう予想する。

「あまり知られていませんが、大規模チェーンの大半は“タピオカドリンク専門店”ではなく、“お茶の専門店”です。タピオカはあくまでトッピングにすぎません。だから、飲料を変えればアレンジは無限大ですし、最近はタピオカが入っていない“アレンジティー”が注目されています。もしもアレンジティーやフルーツティーが人気になれば、いずれ訪れる“第4次ブーム”では、今回の『タピオカミルクティー』のような甘いドリンクではなく、スッキリとした『タピオカフルーツティー』がはやるかもしれません」

 ほかにも、普段タピオカを飲まない層からすると、MとLの2サイズ展開では、「Mでも量が多い…」と飲み残しを懸念してなかなか手が出せない人もいる。そのためSサイズを用意する店が増えれば、新たな層を取り込める可能性も。

 また、プラスチックフリーが進んでいる時流をくんで、繰り返し使えるステンレスストローなどを普及させれば、タピオカに対する見方が変わり、ファンが増えるかもしれない。タピオカは、思っている以上に可能性を秘めた存在なのだ。

 これまで3度もブームとなったタピオカだが、実は新たなアレンジやプロモーション方法が登場するたびに話題になるだけで、食文化としては、とっくに根付いているのだ。ブームが落ち着き、並ばずに買えて、メニューのバリエーションも増えた今こそ、ゆっくりと上質なタピオカドリンクを味わってみるのもいいかもしれない。