判決後の支援者による不当判決のアピール
支援者による不当判決のアピール Photo by Maki Fukuhara

2018年、人工呼吸器装着を理由に特別支援学校への就学を強制された男児とその保護者が地域の小学校への就学を求めて、神奈川県と川崎市の教育委員会を相手取り提訴した。この裁判で原告側は「教育委員会の就学決定が障害者権利条約や障害者基本法に定められたインクルーシブ教育権を侵害したこと」「重度障害児の就学相談をめぐり本人や保護者の意向を尊重しない」など手続きの流れに重大な誤りがあったと主張した。だが、横浜地方裁判所の河村浩裁判長は3月18日、原告の訴えを退ける判決を言い渡した。男児と保護者が希望した、障害のある者とない者が共に学ぶインクルーシブ教育はどうして否定されたのか。(医療ジャーナリスト 福原麻希)

障害の有無にかかわらず
一緒に学び過ごした経験

 神奈川県川崎市に住む光菅(こうすげ)和希さん(8歳)は難病「先天性ミオパチー」のため、生まれつき全身の筋肉に力が入らない。日常生活で人工呼吸器や痰の吸引を必要とする。食事は鼻にチューブを通して栄養を摂る。このような子どもたちは「医療的ケア児」と呼ばれている。

 和希さんが小学校へ入学するにあたって、父親の光菅伸治さんが特別支援学校でなく、地域の学校へ通学させたいと思った理由は、幼稚園時代のこんな経験があったからだ。

 学校法人柿の実学園「柿の実幼稚園」(川崎市)は障害の有無に関係なく、ともに日常を過ごす「インクルーシブ教育」を実践している。和希さんは4歳のときから2年間、同園に通った。同園と併設の保育園では、毎日、総勢800人の子どもたちがキャーキャーと右往左往しながら、広大な園庭を走り回っている。そのうちの約100人は身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)と診断されているそうだ。