つい先日訪れたある会社は、金融系の仕事なので全社員が出社しているだろうと想像していたら、A班、B班に社員を二分して、週替わりで社員の半分が在宅で仕事を処理していた。仕事は無事に回っていたし、オフィスの人口密度が適度に下がって社員は快適そうに働いていた。社員たちは、あらためて今までいかに「不要不急の会議」が多かったのかを実感したようだ。

 テレワークには少なからぬ合理性がある。今回のコロナウイルス問題をきっかけに、テレワークの普及が進むだろう。

 では、テレワークの普及は今後、日本のサラリーマンの働き方にどのような影響を及ぼすだろうか。

テレワークのメリットとは?
総合的な効果は大変大きい

 もちろん、テレワークに向く職種、向かない職種がある。企画や調査、研究、広報、システム開発、経理、財務、法務などは、業務の相当部分をテレワークに置き換え可能な職種だろう。

 他方、製造や対人販売・サービスに直接関わるような職種には「チームを伴う現場」があるので、テレワーク化できる業務が少ないかもしれない。

 いくらか微妙なのは営業か。営業は、主に人と接することによって成果を得る仕事だ。だが、営業マンにとってコンタクトが必要なのは社内の上司・同僚や他部署ではなく、顧客なのだ。実は、営業こそテレワーク向きの仕事なのかもしれない。

 比率の大小はあっても、多くの業務の大半ないし一部がテレワークで可能なはずだ。

 では、テレワークのメリットは何だろうか。

 確実にして明白なメリットは、通勤時間の省略だろう。通勤に費やしている時間を仕事・自己投資・休息などに充てられるのだから、多くのサラリーマンにとって確実なメリットがある。時間だけでなく、交通機関で感じるストレスや感染症に罹患するリスクを軽減する効果もある。総合的な効果は大変大きい。多くの職種で、部分的にでもテレワークを試してみるべきだろう。

 加えて、テレワークは、成果に結び付かないムダな仕事の削減につながるきっかけを与える。多くの組織にあってムダな会議と、会議開催のために費やす時間と費用は計算上莫大なコストになっているはずだ。ムダな会議には、時給で計算したコストだけでなく、その時間に有能な社員が有効に時間を使えなかったり、仕事に嫌気が差したりするといった損失も含まれる。