奥深い水風呂の世界

タナカ 実は、僕2回だけ、水風呂で、顔色が緑になって、調子が悪くなったことがあるんです。それが、どちらも、水風呂が18度設定でぬるかった時。ぬるいのでゆっくり入っちゃって、ふと気づけばどんだけ入ってんだと。逆に10度以下などの冷たい水風呂で気分が悪くなったことは一度もないんです。冷たい水風呂より、ぬるい水風呂のほうがリスクが高いってことあるんでしょうか?

加藤 それは、低体温症ですね。さっきのTRP受容体は、かなりシャープな反応を示すので、本来、冷たい水風呂には長く入れない、不快だから。だけど、18度くらいだと、その反応がこないからひたすら入っちゃうんですよ。実は、すごく冷たい水でも、短時間だったら深部体温ってそんなに下がらない。身体の表面がきゅっと締まるだけです。でも、ぬるい水に長く入っていると深部体温まで下がっちゃいますから、低体温症になって失神することもあります。

【タナカカツキ×松尾大×加藤容崇】前編<br />サウナ室の時間、水風呂の温度<br />外気浴…。すべてに深い意味がある

松尾 あぶないじゃん!レスキュー隊の人に聞いた話によると、子どもが5度の川に落ちて10分そのままだと、命に危険があると。

加藤 そうですね。個人差はありますが。5度だとその危険性はありますね。

タナカ 低体温症にならないようにするには?

加藤 温度もですが、むしろ時間でしょうね。特に、ぬるい水風呂だと、TRP受容体が反応せずにピンチのシグナルが出ないから、長くいすぎないようにしないと。僕は水風呂を出る時間も、脈で判断して、平脈に戻ったらすぐに出ます。

松尾 なるほど。

加藤 僕は平脈が1分に50~60なんですが、サウナ室には1分間に120~130くらいになるまでいます。そして、水風呂に入ると、平脈よりも下がって、脈が強く、ゆっくりになります。それが落ち着いてきて、いつもの状態にもどったら、出るようにしています。目安として、血液が体を一周する時間=大体1分ぐらいなんです。血液が体を何周もすると、徐々に体が冷えてしまうので、1分くらいがおすすめですね。

タナカ 脈で判断するのは、客観的でいいですね。(後編に続く)

【タナカカツキ×松尾大×加藤容崇】前編<br />サウナ室の時間、水風呂の温度<br />外気浴…。すべてに深い意味がある
タナカカツキ
マンガ家・サウナ大使。1985年大学在学中にマンガ家としてデビュー。著書に「オッス!トン子ちゃん」、天久聖一との共著「バカドリル」などがある。アーティストとして幅広いジャンルで活躍、カプセルトイ「コップのフチ子」の企画原案でも知られる。サウナを題材にした近作「マンガ サ道」は、ドラマ化もされ、大ブームに。
【タナカカツキ×松尾大×加藤容崇】前編<br />サウナ室の時間、水風呂の温度<br />外気浴…。すべてに深い意味がある
松尾 大
福祉施設やフィットネスクラブ等を経営する実業家にしてプロサウナー。多くの経営者や著名人を「ととのい」に導いてきたことから「ととのえ親方」と呼ばれるように。2017年にはプロサウナーの専門ブランド「TTNE PRO SAUNNER」を立ち上げた。近著にサウナの楽しさ・効果を余すところなく伝えた「サウナー・ブック」がある。
【タナカカツキ×松尾大×加藤容崇】前編<br />サウナ室の時間、水風呂の温度<br />外気浴…。すべてに深い意味がある
加藤容崇
慶應義塾大学医学部腫瘍センター特任助教・日本サウナ学会代表理事。北海道大学医学部医学科・同大学院卒。専門はすい臓がんを中心にした癌全般と神経変性疾患の病理診断。病理学、生理学にも詳しく、サウナをはじめとする世界中の健康習慣を最新の科学で解析することを第二の専門としている。著書に「医者が教えるサウナの教科書」がある。