たとえば、あなたが電車でお年寄りに席を譲る時、お金を要求するでしょうか? それによって何か見返りを求めるでしょうか?

 そうではありません。

 気づかいとは、他者を慮ることです。

 相手が「欲しい」と言う前にその気持ちを汲み取り、さりげない行動で示す。相手のことを思いやり、自分が心地いいからそうする。相手の喜びを自分の喜びに変えてしまう。

 これが、日本人にしかできない気づかいだと思うのです。

組織の器がしっかりしていても
働く人の「心」が伴わないとダメ

 ディズニーでは仕組みを学んだと言いましたが、組織として見た時、ディズニーのマネジメントというのは本当に行き届いています。

 たとえば一つのアトラクションをつくるためにNASAの宇宙工学や心理学を取り入れたり、安全対策のために年200回以上防災訓練をしていたり、とにかく徹底しているのです。

 それらはすべて、「ゲスト(お客様)の幸せのため」という理念に通じています。

 ところが、いくら組織の器がしっかりしていても、問題は中身です。器がいくら完成されたものでも、そこで働く人たちに「心」が伴っていなければ意味がありません。

 組織やチームとして行き届いた気づかいを完成させるには、心と型と仕組み、そのすべてが必要になります。心だけでも、型だけでも、また仕組みだけでもダメなのです。

 私がフロリダのディズニーで勤めていた当時の話ですが、驚いたことがあります。ディズニーでは「訪れた人を現実に返してはいけないからトイレには鏡を置かない」などの細かい心くばりがいくつも施されています。