致死率が高い伝染病として恐れられているエボラ出血熱が猛威をふるうアフリカの地、コンゴ民主共和国からエボラをはじめ感染症対策の現状や最新事情について、国立国際医療研究センター国際医療協力局から「JICAコンゴ民主共和国保健省次官付顧問」として派遣されていた日本人医師、仲佐保の最終レポートを伝える。2年間の派遣終了後、2020年3月中旬に帰国。コンゴ民派遣の最終日直前の3月10日には、北キブ州の最終例から21日が経過、3月31日(予定)には42日間が経過し、「2年にわたる『エボラ』との戦いは終わった」と思っていたところ、3月10日、世界中で大流行している「新型コロナ」の第1例が首都キンシャサで報告された。猛威を振るっているヨーロッパのフランスからの入国者であった。コンゴ民主共和国における感染症との戦いは終わらない。(国立国際医療研究センター国際医療協力局医師 仲佐 保)
エボラ流行のはじまり
エボラウイルス病は日本ではエボラ出血熱と呼ばれ、感染するとすぐ死んでしまう病気として認識されている。2014年から2015年にかけて発生した西アフリカでの大流行では、約2万8000人以上が感染して、1万1000人以上が死亡した。
「出血熱」と名付けられているため、全身から出血して死んでいくと思われているが、実際は違っている。最初の症状は発熱と頭痛であり、2~3日後に大量の嘔吐と下痢が始まり、脱水症状となって死んでしまう。「無力症」といわれ、急激に元気がなくなってしまうのが特徴である。