一般NISA(従来型NISA)とは

NISA、iDeCoなど、<br />20%トクする非課税制度を<br />フル活用する基礎知識安東隆司(あんどう・りゅうじ)
RIA JAPAN おカネ学株式会社 代表取締役 CFP、日経CNBCなどTVコメンテーター、海外ETF専門家、立教セカンドステージ大学講師
三菱UFJ銀行で17年、三菱UFJメリルリンチPB証券(出向)、ソシエテ・ジェネラル信託銀行勤務という、メガバンク、外資系証券・信託銀行で約26年の勤務を経験。その後半はプライベートバンカーを務め金融商品の運用について熟知。販売手数料(コミッション)を目的にしない、世界的潮流である「預かり資産管理」(フィーベース)のビジネス(RIA)を行う、独立系・投資助言業(内閣総理大臣登録)を2015年立ち上げる。著書に『個人型確定拠出年金iDeCoプロの運用教えてあげる!』(秀和システム)など。 WEBサイトhttps://ria-japan.co.jp/

 一般NISAは運用益が非課税の個人貯蓄口座で、1人1口座のみ持つことができます。非課税の枠は大きくて年間120万円です。

 そして非課税の期間は最長5年間で、一般NISAでは最大600万円の非課税枠があります。

 投資対象は国内株式、海外株式、投資信託、国内ETF、海外ETFなど幅広く利用が可能です。NISA口座を利用する前に、覚えておいていただきたい点を説明します。

非課税投資枠の繰り越しはできない

 NISAの非課税枠は1年間で120万円までです。仮に80万円しか非課税枠を使わなかったとしても、「120万円−80万円=40万円」の未使用枠は翌年に繰り越すことはできません。

 翌年の利用枠は120万円までで、昨年の未使用枠40万円を加えた160万円にはならないということです。

「損益通算」もできない

 株式等を取引した結果、トータルで儲かった場合には約20%の税金がかかります。

 しかし「損益通算」を適用した場合では、約20%の(譲渡・利子・配当)所得税の税金を払わなくて良い場合があるのです。トクする制度ですので、ここで損益通算を学んでおきましょう。

 例えば、一般の証券口座で3つの銘柄の損益がありました。A株で10万円のトク、B投資信託で20万円の損、C株の配当で2万円のトクであれば、トータルでは10万円−20万円+2万円=8万円の損です。

 「(譲渡・利子・配当)所得益」はプラスである、つまり儲け分への税金ですので、トータルで損の場合は(譲渡・利子・配当)所得の税金はゼロとなるのです。このように、トクした部分と損した部分を合算することを「損益通算」といいます。とてもおトクですね。

 ところが、この素晴らしい「損益通算」の制度ですが、NISA口座(一般NISA、つみたてNISA)では利用ができないのです。

 NISA口座は(譲渡・利子・配当)所得の税がもともと非課税なのですから、トクした場合が非課税なので、損した場合にも損益通算を認めないということですね。

 NISA口座で保有している金融商品が値下がりし、損した場合でも、他の口座でトクした部分とは合算はできないのです。つまりNISAでは「損益通算はできない」のです。