ミス3 資本集約度を過小評価する

買収したいと気のはやる買い手が犯す最後のミスは、事業の資本集約度を過小評価することだ。EBITやフリーキャッシュフローを継続的に成長させるには、通常、設備投資を通じて資産を増加させる必要がある。

だが、この設備投資は、支出金額全額がそっくりフリーキャッシュフローを縮小させる。そして、買収を成功させようと必死な人たちは、それを都合よく無視してしまう。例えば、永続価値は永久成長率を想定するが、(永続価値の基礎となる)モデルの最終年には設備投資は減価償却費と同額になり、資産の成長はないとする。設備投資を過小計上することは、価値を水増しする効果がある。

ネットフリックスの例で考えよう。ネットフリックスの主な問題は、成長を維持するために今後、コンテンツ買収費用がどう伸びるかという点だ。ネットフリックスの加入者が急成長すると想定したなら、その基本的事業の資本集約度を注意して予想する必要がある。同様に、テスラのような会社の評価では、顧客の伸びだけではなく、その需要を満足させるために工場を建てなくてはならないから、基本的な資本集約度を過小評価すると、評価が不正確になってしまう。