ミス2 シナジーを誇張し、統合コストを無視する

シナジーは、合併後の会社の価値は、2社個別の価値の合計よりも大きくなるという考え方だ。一見、この考え方は不合理なものではない。例えば、営業部隊を一緒にして合理化すれば、コスト削減になる。2つの会社を一緒にすれば、業界全体のキャパシティをもっとコントロールできるようになるから、価格決定力が増す。

アマゾンがeベイとの合併を考えたとしてみよう。2つの顧客リストを使えるし、統合後は両社のベンダーを使えることを考えると、統合会社はパワフルになるだろう。また、事務管理部門の社員やコンピュータの費用を2社の統合で削減できるだろう。いずれもシナジーの例だ。統合会社は、それまでアクセスできなかった顧客に営業できる。別々に運営していたら削減できなかった費用を削減できる。

シナジーの問題は、シナジーが効きだすまでの時間を過小評価し、その効果を過大評価するところにある。シナジーは複雑なもので、カルチャーを変え、社員を変えるには時間がかかるという事実を無視する。第二に、関連する問題だが、シナジーが実際に出たとしても、そのシナジーを支払価格に織り込んでしまうということだ。それ自体が過払いにつながる。シナジーの価値創出で得られるものは、買収企業に与えられる代わりに、被買収企業の株主に移転されてしまう。