『利己的な遺伝子』のリチャード・ドーキンス、
『時間は存在しない』のカルロ・ロヴェッリ、
『ワープする宇宙』のリサ・ランドール、
『EQ』のダニエル・ゴールマン、
『<インターネット>の次に来るもの』のケヴィン・ケリー、
『ブロックチェーン・レボリューション』のドン・タプスコット、
ノーベル経済学賞受賞のダニエル・カーネマン、リチャード・セイラー……。

そんな錚々たる研究者・思想家が、読むだけで頭がよくなるような本を書いてくれたら、どんなにいいか。

新刊『天才科学者はこう考える 読むだけで頭がよくなる151の視点』は、まさにそんな夢のような本だ。一流の研究者・思想家しか入会が許されないオンラインサロン「エッジ」の会員151人が「認知能力が上がる科学的概念」というテーマで執筆したエッセイを一冊に詰め込んだ。進化論、素粒子物理学、情報科学、心理学、行動経済学といったあらゆる分野の英知がつまった最高の知的興奮の書に仕上がっている。本書の刊行を記念して、一部を特別に無料で公開する。

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著者 クレイ・シャーキー
社会的・技術的ネットワーク・トポロジー研究者、ニューヨーク大学インタラクティブ・テレコミュニケーションズ・プログラム大学院非常勤教授。著書に『認識超過:接続の時代の創造性と寛容性(Cognitive Surplus: Creativity and Generosity in a Connected age)』

人口のわずか1%が
富の35%を握っている

 同じようなパターンは至るところに見られる。たとえば、人口のわずか1%が、すべての富の35%を握っているツイッターではトップ2%のユーザーが全ツイートの60%を書いている、など。医療保険では、最も費用がかかる5分の1の患者に、全体の5分の4の医療費が使われているという話もある。

 この種の話題は大変な驚きというニュアンスでよく語られる。本来あるべき姿から外れていると言いたいのだろう。物事の分布は偏りがないのが当たり前で、大きな偏りがあるのは異常だという観念が多くの人にある。しかし、実際にはその観念は誤っている。分布は現に偏っているし、偏っているのが当たり前だ。

 イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートは、今から1世紀ほど前に市場経済について研究し、世界中のどの国でも、わずかな数の大金持ちが富の大半を握っているという現象を発見した。これは「パレート分布」と呼ばれるが、ほかにも80/20ルール、ジップの法則、べき分布、勝者ひとり勝ちの法則など、いくつもの名前で呼ばれる。

 どれも基本的にはすべて同じ意味だ。とにかく、そのシステムのなかで最も裕福な人たち、最も忙しい人たち、最も多くの人とつながっている人たちが、平均的な人々をはるかに超え、富や活動、人とのつながりの大半を独占しているのだ。

 また、この現象は再帰的でもある。上位の20%だけを取り出してみると、そのなかにもやはりパレート分布が見られるという。上位の20%のなかのさらに20%が、全体の多くを独占しているという構図は変わらない。

 そして、最上位の要素が、第2位の要素よりもはるかに多くを占めているという構図も見られる(たとえば、英語で最も使用頻度の高い単語は”the“だが、その使用頻度は第2位の”of“の2倍ほどにもなる)。