在宅勤務が「コロナうつ」の社員を
生み出しやすい理由

 このような非常事態の中、部長や課長などいわゆるマネジメント層と呼ばれる組織の管理監督者に求められているのは、部下のケアです。在宅勤務や自宅待機では、会議や「ホウレンソウ」などの情報共有を対面では行えません。多くの方は、メールや電話、オンラインミーティングで代用するでしょう。

 こうした非対面のコミュニケーションには、デメリットがあります。今まで直接部下の顔を見たり、リアルな声を聞いたりすることで、「いつもと違うな」と部下の不調に気づくことができた人も、部下の不調を見落としてしまうケースが増えてしまうのです。

 そこで、在宅勤務中でも部下の心身の健康状態を確認する具体的方法を紹介します。

部下のコロナうつを防ぐため
「心身の健康状態」をチェック

 まずは、部下へ次の3点を伝えましょう。「部下のプライベートを侵害するつもりはない」ということを理解してもらうことがポイントです。

・ 仕事環境の変化が心身の健康に影響を与えること、「今、あなたのことを心配している」ことを伝える
・ 「あなたの健康状態を確認したい」ことを伝え、本人の了承を得る
・ プライベートの事情や家族の内情など「話したくないことは話さなくていい」ことを伝える

 そのうえで、部下の心身の健康状態を確認してください。ちなみに、労働契約法第5条で事業者には労働者に対する「安全配慮義務」が課されています。部下の健康状態を確認せずに、部下が不調になった場合に「債務不履行」や「不法行為」で訴えられるケースがあります。

 部下の心身の健康状態は以下の3点に絞って確認します。具体的に話を聞くことが大切です。

・ 生活習慣(睡眠の状況、食事の状況や食欲、運動の状況)
・ 体の症状(頭痛や肩こりがないか、消化器系の症状、疲れの状況)
・ 困っていることや悩み(仕事や家庭・プライベート)

 もし部下の不調につながるような気づきがあった場合は、まずは部下自身からの相談を受けましょう。職場で相談を受ける場合は、声をかければすぐに相談されることが多かったかもしれませんが、在宅勤務の場合は家族の問題や家計の問題などプライベートな事情も絡んでいるので、部下から相談しにくいとも考えられます。

 そこで次の3点に注意して相談を受けてください。

• あらためて「今、あなたのことを心配している」ことを伝え、仕事上で困っていることがないか確認する
• 併せて「仕事上でサポートできることがないか」を確認し、後ほど説明する「4つのサポート」を的確に与えるよう心掛ける
• プライベートの相談を受ける場合は、(ケース・バイ・ケースですが)「問題解決につながらないかもしれない」「聞くだけになるかもしれない」ことを前提に聞き、入り込みすぎないように注意する

 相談を受けたうえで、自分では対応できないと判断した場合は、上長に相談してサポートを受ける、または産業保健スタッフにつなげます。なお、「部下の物理的な職場環境や情報リテラシーは個人によって違う」ことを理解し、特に部下が仕事におけるハード面で困っていることを詳しく聞き取るようにしましょう。