上司が部下にするべき
4つのサポート

 部下から仕事で困っていることや悩みを聞き取ったときは、「4つのサポート」で部下のコロナストレスを緩和しましょう。4つのサポートとは、「情緒的サポート」「情報的サポート」「道具的サポート」「評価的サポート」です。

 具体的に説明していきましょう。「がんばってるね」「お疲れさま」などと声かけをしたり、「大変だよね」「感染拡大が終わるまでの辛抱だよ」などと慰めをしたり、その人の愚痴を聞いてあげるなど、本人の情緒を安定させることを目的にしたサポートが「情緒的サポート」です。

 そして、効率的な仕事の進め方についてアドバイスをしたり、「この仕事は○○さんが詳しいから聞いてみたら」と専門家を紹介したりするなど、問題解決に役立つ情報を与えるのが「情報的サポート」です。

 また、仕事を職場のメンバーで手伝うなど、問題解決のために物質的な手助けをするのが「道具的サポート」です。

 さらに、「よくがんばったね」「いつも助かっているよ」と努力をほめたり、仕事の結果を適切な人事考課で評価したりするなど、仕事での良い点を本人にフィードバックするのが「評価的サポート」です。

 この4つのサポートを効果的に行い、部下のコロナストレスを緩和していくことが重要です。

リモートコミュニケーションで
注意すべき3つのポイント

 最後に、在宅勤務や自宅待機をしている部下とのコミュニケーションで注意すべきポイントを3つ紹介します。

 1つ目は、「在宅勤務や自宅待機をすることの意義について理解させる」ことです。在宅勤務や自宅待機が感染拡大の防止につながること、組織としてのリスク対策として長期的な利益になることをしっかり伝え、「自宅にいることに意味がある」と自覚させてください。

 2つ目は、「リアルなストレスとバーチャルなストレスがあることを理解させる」ことです。慣れないリモートの仕事が難しい、お金に困っている、家族の人間関係がうまくいかないなどのストレスは、仕事に慣れる、お金を借りる、家族との関わり方を変えるなど、自分の行動を変えることで軽減できます。これがリアルなストレスです。

 ところが、「自分も感染して病気になるのではないか」「外出の自粛はいつまで続くのだろう」「これから日本の経済はどうなるのだろう」などの不安は、行動ではなく「自分の考え方」を変えないと軽減できません。このようなバーチャルなストレスについては、「ネガティブな情報を与えるようなニュースや報道番組を見すぎない」ことをアドバイスすることも必要です。

 3つ目は、勤務が元に戻ったときのために「出勤していたときと同じ規則正しい生活を送るのが大切だと理解させる」ことです。バーチャルなストレスに結びつくネガティブな考え方は、規則正しい生活を送ることを阻害する要因になります。「出口のないトンネルはない」「春の来ない冬はない」「いつかは元の生活に戻れるだろう」というポジティブなつぶやきを自分で言い聞かせるようアドバイスし、少しでも早く職場に戻る準備を促すことが上司が今やるべきことでしょう。