「闘争・逃走反応」を我慢し続けると
「うつ」状態に陥ってしまう

 職場で「ストレッサー」に出会ったときは、何が起こるでしょうか。職場では、「たたかう」や「にげる」を選択するのは現実的ではありません。上司から厳しいことを言われたときに上司と「たたかう」、つまりケンカをするわけにはいきません。また、「にげる」ためにその場で辞表を出して仕事を辞めることも少ないでしょう。多くの人は、上司に厳しいことを言われても、「じっと我慢する」のではないでしょうか。つまり、闘争・逃走反応を解消せずに我慢し続けるという選択を取ります。これがストレスを生み、ストレス状態が続くことで職場に来られなくなり、ついにはうつ病などのこころの病で休むことになるのです。

 それでは、今世界中で大流行している新型コロナウイルスに対しては、どのように反応している人が多いのでしょうか。

「コロナうつ」の原因は
コロナ疲れの長期化

 新型コロナウイルスというストレッサー(脅威)に対しては、多くの人が「にげる」を選択し、外出の自粛や自治体からの要請による休業などを実行しています。また、企業は従業員に在宅勤務や自宅待機を指示し、感染拡大を防止しようとしています。しかし、「にげる」を選択してもストレッサーから完全に逃げ切るまでは闘争・逃走反応が続きます。すると、次第に従業員の間には次のようなネガティブな感情が増幅してきます。

 ・「この状況はいつまで続くのだろう」という不安感
 ・「自分ではどうにもできない(解決できない)」という無力感
 ・「在宅勤務はいつもとやり方が違って難しい」という負担感
 ・「自分は自宅で仕事をサボっている」という罪悪感

 これらの感情がコロナストレスを生み、長期化することでコロナ疲れに陥るのです。そして、コロナ疲れを放置していると、コロナうつにまで発展してしまいます。