収益支援より資金繰り支援が重要
重要なのは、倒産と失業を防ぐことだ。そのためには、新型コロナウイルスが終息するまで資金繰りの支援によって、倒産を先延ばしにすることが最重要である。具体的な策として、以下のようなものが考えられる。
(1)税と社会保険料の納付期限を1年待つ。待つだけなので、1年待てば税も社会保険料も入ってくるわけで、財政赤字は膨らまない上に、納税者などの資金繰りは楽になる。とりあえず全員に対して1年待つこととし、本当に収入が減って苦しい人には納付期限を延長していた納税を免除すればよい。
(2)昨年の申告所得の半額までは金利3%で融資する。困っていない人は借りないだろうから、本当に必要な人にだけ資金が届く。あるいは誰でも100万円までは無担保で金利3%で融資するということも選択肢だ。
そして、本当に収入が減った人は返済を免除すればよい。収入が減ったのか否かの判定は、今年分と昨年分の納税申告書を比較すれば容易である。
(3)金融機関に対して、借り手が赤字でも融資を引き揚げないように、資金繰り難の企業には追加融資するように、依頼する。その際のインセンティブとして「銀行が被った貸し倒れ損失の一定割合を政府が補填する」といったことを約束する。
以上は単なるアイデアであり、実現には政治的な面でも実務的な面でもさまざまなハードルがあるだろうが、発想の方向性だけでも共感していただければ幸いである。
本稿は、以上である。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織等々とは関係が無い。