自治体のコロナ対応で
職場環境はさらに劣悪に

 コールセンター業界はコロナでむしろ繁忙になっている。通販を利用する人が増えているのが要因だが、省庁や自治体などがコロナに関するコールセンターを次々と設置しているのも一因だ。官公庁から業務を請け負う会社で非正規従業員として働く人は、こう訴えている。

「地方自治体の仕事がどんどん入ってきている状況。会社自体も、今が商機とばかりに仕事をどんどん受注しています。

 日々それに伴い派遣社員が増えていき、オフィスは人であふれています。かなり密集した中、電話も事務用品も席も何もかも使い回しで仕事をしており、かなり危ういです。

 公的に何か給付がある時、または保健所の手が回らなくなっている時などは、ほとんど私たちのような下請け的な会社に丸投げされます。自治体が『リモートワークを!3密を防いで!』と広報するなら、まずは自分たちの下請けの苛酷な状況を改善するべきでは?と思います」

 ノーワーク・ノーペイの立場でも、「収入より命」と考え、休職や退職を選んだオペレーターも複数いた。職場を離れるのは、個々の労働者に許された自己防衛策だ。ただ悩ましいのは、業界が繁忙なために、残った人の職場環境はさらに劣悪なものになるということだ。首都圏のオフィスで働き続けているオペレーターはこう訴える。

「子どもを持つ主婦が休み、人出不足と仕事量(の増加)で忙しくなり、自宅待機どころか残業までさせられています。人出不足解消のために派遣で人を増やし、さらに密室・密接になりました。

 みんな生活があるし、年齢もあって次の仕事もない。コロナが落ち着いたら仕事を続ける気はあるけれど、今欠勤したら上司からパワハラを受けるかも……という恐怖で、不安で体調をくずしながらも休まず、残業までこなしている毎日です。自分自身、免疫が下がっていて、よくコロナに感染しないなと思います」

 職場の管理者には、労働者の健康を守る義務がある。多くのコールセンターでは多少なりともコロナ対策が導入されているが、その対策が不十分、不適切と考えている人も目立った。通信会社のあるオペレーターによると、職場では37度台の熱が出た場合、熱が下がるまで勤務しないというルールがあるものの、その運用は有名無実化しているという。

「人がいないため、37度台で電話しても『36度台ってことにしといて出勤してくれる?』と言われ、虚偽の報告をしています。どうしたらいいですか?」