人の話に耳を傾けないと
孤立した「裸の王様」に
しかし一方で、志を持つことには陥りがちな穴があります。
『裸の王様』の話をご存知でしょうか?
ある王様が詐欺師に騙され、「マヌケな人間には絶対見えない」という服を着てパレードに出るのですが、そんな服はもちろんありません。
ところが、王様は絶対なので家来たちは何も言えません。
そのままパレードが進行するのですが、ただ一人、大人の事情を知らない小さな子どもだけが「あの王様は裸だよ」と正直に言う、という話です。
この話はよく、政治家や経営者の教訓話として使われます。
他人の意見に耳を傾けない。自分の言うことに同調するイエスマンしか可愛がらない。そうすると、仲間を持っているつもりが、心はどんどん離れていきます。
誰も本当のことが言えなくなり、「もう言ってもしょうがないか」とどんどん孤立していってしまうのです。
何かをやり遂げるためには、志を持たないといけません。
しかし、それと同じくらい大切なのは人の話を聞くということです。
昔、私の上司だった人で今でもすごいなぁと思っている人がいます。
私が多摩センター三越で副支配人をしていた時の支配人です。
彼は、お客様に対してはもちろん、部下や従業員、お店に関わるすべての人の意見に耳を傾け、丁寧な対応をしていました。
たとえば、派遣社員さんを含む従業員すべてと面接をするのです。