いよいよ見え始めた
デジタル通貨への具体的な動き
経済復活に向けて中国政府が打ち出したもう1つの手は、デジタル通貨だ。
最近、中国のネット上では、農業銀行のデジタルウォレット(電子財布)のテスト画像が大きな話題を巻き起こした。これにより、2014年から中国の中央銀行である中国人民銀行が研究とテスト使用を進めてきたデジタルマネーが、ついにその一端を覗かせた。
中国人民銀行デジタル通貨研究所は、「ネット上に流出した画像はデジタル人民元システム(DC/EP)に関する情報で、研究開発過程におけるテスト内容ではあるが、デジタル人民元が正式に発行されたことを意味するものではない」と事情を説明した。 現段階では、広東省深セン市、江蘇省蘇州市、河北省雄安市、四川省成都市、および今後の冬季五輪期間中における関係施設内部で先行テストを実施している、という。
中国メディアの報道によると、この5月から蘇州市相城区の区レベルの機関と事業部門における一部の人員の給料のうち、交通補助金の50%がデジタル通貨として支給されることになる、という。
ここでいうデジタル通貨は、紙幣をデジタル化したものである。 英語名はDC/EP(Digital Currency Electronic Payment)、つまりデジタル通貨と電子支払手段のことをいう。デジタル通貨電子決済ともいう。法定デジタル通貨(DC/EP)の研究が進んでいると認めた人民銀デジタル通貨研究所の穆長春所長は、「デジタル通貨の機能や属性は紙幣とまったく同じだが、その形態はデジタル化されている」と説明している。
関係する専門家によれば、デジタル通貨を使用する際は銀行口座や決済口座を開設しなくていいという。デジタル通貨を収納するデジタルウォレットさえあれば、中央銀行が発行したデジタル通貨を使うことができる。デジタル通貨は紙幣のように流通することができ、その位置付けは現金の代替であり、現金と同じく法的保護を受け、国家が信用を担保する裏書があり、無制限の強制通用力を持ち、誰もがその受け入れを拒否することはできない。
しかも、利便性が高い。携帯電話にデジタル通貨のデジタルウォレットがあれば、ネットワークがなくても2つの携帯電話が触れ合うだけで、1人のデジタルウォレットに入っているデジタル通貨を別の人に渡すことができるという。