アフターコロナで
米・中の対立激化懸念
ここへ来て米国と中国の対立が激化している。2018年以降の米中の通商摩擦は新たな段階に突入し、米国がけん引してきたグローバル化は大きな転換点を迎えた。
まず、米国は新型コロナウイルスの発生の責任が中国にあると主張している。ポンペオ国務長官は、武漢にある研究所から新型コロナウイルスの感染が拡大したと中国への批判を強めている。また、ナバロ大統領補佐官は中国が質の低い医療資材を各国に提供して不当に利益を得ていると対中強硬姿勢を強めている。
また、米国は5G通信機器で世界トップシェアを誇るファーウェイへの制裁を強めている。コロナ禍への対応で明らかになったように、5G通信、それに対応したIoT機器などの開発と実用化は、今後の世界経済を支える大きな原動力の一つだ。米国はその分野で中国が主導権を握ることは何としても阻止しなければならない。それは、米国の政治・経済力だけでなく、安全保障をも左右する。感染拡大によって経済活動が大きく停滞してしまっただけに、対中批判を強める以外にトランプ政権が支持を獲得する手段は見当たらないと指摘する米国政治の専門家もいる。米国の自国主義はさらに強まり、韓国など輸出依存度の高い経済は、より強い逆風に直面するだろう。
ただ、米国は中国に対して制裁関税や禁輸措置などの大きな制約を課してきたが、うまくはいっていないのが現状だ。すでに、欧州委員会や英国政府は5G通信機器導入においてファーウェイの製品を容認する方針を出している。更に、アジア、アフリカ地域などでもファーウェイの製品が浸透し始めている。
その上、中国は新興国などに対して積極的に医療・公衆衛生面なども含めた支援を行っている。その背景には、新型コロナウイルスの感染拡大の責任が中国にあるといった対中感情の悪化を食い止め、国際世論における発言力の維持・強化につなげる狙いがあるはずだ。そのように考えると、“一帯一路(21世紀のシルクロード経済圏構想)”沿線国に対する中国からの支援は強化されるだろう。それに伴い、米中のコンフリクトは一段と激化する可能性が高い。
今後、
わが国が目指すべき改革の道
コロナショックによって世界全体で人の動線が遮断・寸断された影響は非常に大きい。それによって、人々が外出しなくてもできるだけ快適に過ごすことを重視し始めている。言い換えれば、わが国が強みを発揮してきた自動車、各種部品や素材産業の回復には時間がかかる。