ですから、まずは株式で運用を始めることを検討してもらいたいのですが、ではその際、どのくらいの割合を株式やリートなどのリスク資産(以下、株式等)で運用したらよいのでしょうか? アライアンス・バーンスタイン株式会社が運用するターゲット・イヤー型投信の年齢別の資産配分を見ると、50歳時点では86%が株式等、14%が債券となっています。60歳時点でも72%が株式等、28%が債券となっています。この投信は、定年退職までに十分なお金を貯められないリスク(貯蓄不足リスク)、長生きしている途中でお金が底をつくリスク(長生きリスク)、そして物価上昇によって保有資産の価値が毀損するリスク(インフレ・リスク)に対応すべく設計されているため、結果として株式等が相応に組み込まれています。長い老後に対応するためには、理論的にこのぐらいの割合を株式等で運用すべきなのですが、日本人の多くがそもそも株式等でまったく運用していなかったり、運用していてもごくわずかな場合が多く、残念ながら理論と実態に大きなギャップが存在します。

 いきなり、この水準まで株式等の比率を高めるのはさすがにハードルが高いと思いますので、第一歩として、今年はこれまでよりも多くの割合を株式等で運用し、理論に近づけてみてはいかがでしょうか

“人的資本”を考慮して運用してみる

 個人の資産運用においては、目に見える金融資産のみならず、現時点では目に見えないものも考慮して、資産運用戦略を考えるのが適切だと言われています。その代表例は、その人が今から将来に稼ぐ給与収入の現在価値である“人的資本”です。日本人の“人的資本”は給与水準が安定しているためリスクの低い債券に近い性質があります。また将来稼ぐ給与が多い若い人は“人的資本”が大きく、定年退職に近づくにつれて“人的資本”は小さくなる性質も持っています。

「人生100年時代」の今、実質的な定年年齢は上がり、70歳を越えて働く可能性も高く、オヤジ世代とはいえ、まだまだ“人的資本”が十分にあると考えることができます。リスクの低い“人的資本”がまだ十分にあるということは、金融資産でもっとリスクをとって運用できることを意味します。長い人生を乗り越えるために、“人的資本”の考え方を取り入れて、株式等の割合を増やしてみてはいかがでしょうか。