斜めの関係のメンターを持とう

エッグフォワードの徳谷智史さん徳谷智史(とくや・さとし)
エッグフォワード株式会社代表取締役社長
京都大学卒業後、大手戦略コンサルティング会社(CDI)入社。国内PJリーダーを経験後、アジアオフィスの立上げ・同代表に就任。その後、「世界唯一の人財開発企業」を目指し、エッグフォワードを設立。総合商社、メガバンク、戦略コンサル、リクルートグループなど、業界トップ企業数百社に人財・組織開発や マネジメント強化のコンサルティング・研修など幅広く手がける。近年は、AI等を活用したHR-Tech分野の取り組み、事業開発や、高校・大学などの教育機関支援にも携わる。著書に『いま、決める力』がある。

徳谷 僕は、自分のキャリアを、たったひとりの上司に依存するのは危険だと思っています。直属の上司が、必ずしも実力・人柄ともに優れているわけではないからです。

こんな上司いませんか。
「キミは何がしたいの?」などと部下に聞いてみるものの、肝心な自身のビジョンがまったく見えない上司。

要は、上司が部下のロールモデルになれていないんです。相談されてもビジョンも引き出しがないため、先のケースのように飲みに連れていくしかないという。

熊谷 そうしたダメ上司に振り回されないよう、部下はどう対処したらいいのでしょうか。

徳谷 直属の上司とは別に、「斜めのメンター」をもつことをオススメします。

熊谷 たしかに、直属の上司に「私、別の部署に異動したいんですけど」とは切り出しにくいですものね(笑)斜めとは、社内メンターでも、社外メンターでもいいわけですよね。

徳谷 はい、どちらでも。目的は、キャリアを考えるルートを「複線化」することです。直属の上司ではない斜めの関係をつくることで、客観的なアドバイスがもらえたり、自部署に閉じない視野で会社を捉えたりするきっかけにもなります。斜めのメンターの存在が、離職低減策として機能することもあるんですよ。

熊谷 そういえば、昨年、我究館の受講生から相談を受けました。
「今の部署では成長が見込めないので異動を希望している」とのことです。
僕は、「ひとまず異動先の上司をランチに誘ってみては」とアドバイスしました。

勢い任せで異動願を提出しても角が立つだけですから、ランチのたった1時間だけでもコミュニケーションを図っておくと、次の異動のタイミングで引っ張ってもらえることが意外とあります。今でしたらネット会議システムの活用ですかね。

徳谷 ランチがリスクテイクになったのですね。今は、おっしゃるとおりランチはむずかしいと思いますが、ネット会議システムなどを活用してコミュニケーションをとるのがよいと思います。