何かできないかと焦る気持ち

会えない今だからこそ、何かできないかと考えてみたけれど、逆に苦しい気持ちが増してしまったと言う方もいらっしゃいます。

「会えないからこそ、母の日に花を送ろうと思ったのだけれど、友達から『施設の職員さんは生花の世話をする余裕はないだろうから、ブリザードフラワーとかのほうがいいんじゃない?』とアドバイスされて、職員さんの大変さにハッとしました。自分が良かれと思ってすることがかえって迷惑になる可能性があると思うと怖くなった」

Eさん(60代・女性)は、認知症の母親(80代・要介護4)が入居している特別養護老人ホームに騒動が始まる前は月に1、2回訪問していました。3月上旬に施設から面会禁止の連絡が入り、会えなくても何かできないかと考えていたところの出来事でした。結果的に小さめのブリザートフラワーを選び送ることにしたのですが、「送りたいものを送れない。些細なことですが、絶望的な気分になりました」と話してくれました。

病院や施設で暮らす家族がいらっしゃる方の多くが、「今、自分に何ができるのか?」と悩み、「何もできない」と無力感に苛まれておられるのです。

誤解を恐れずにお伝えすると、面会中止とされている現時点では「認知症が進むのではないか」、「家族が感染したらどうしよう?」という不安を一気に解決する方法はありません。「なんとかしたい!」と思えば思うほど、解決できない無力感に苛まれ、心理的に追い詰められていきます。

できることがない状況の時は、自分自身が少しでも心の落ちつきを取り戻すことに意識を向ける時期だと言えます。