人間には、不安を感じやすい人と感じにくい人がいるの

――一方で、同じようにコロナ禍の不安や恐怖があっても、平常心を保って生活を楽しんでいる人もいますよね。不安と一口に言っても、感じ方、とらえ方はこんなにも人によって差があるんだなぁと思いました。

精神科医Tomy 「不安」ってそもそも人間の普遍的な問題なんです。精神科で扱う症状も、不安が原因のものが一番多いですし、パニック障害やうつ病も不安が深く関係しています。「不安障害」という病気もあるほどですからね。

 この不安というのは、すごく奥が深くて、緊張する不安、何か悪いことを想像する不安、人に嫌われている不安、何かに困っている不安など、いろいろな種類があります。そういうのを全部ひっくるめて漠然と、不安のひと言で片づけられているわけです。

「悩み」や「心配」だって、不安を感じるから悩みや心配の種ができてしまう。でも不安の感じ方は人によってまったく違います。不安を感じやすい思考の人は、たとえコロナが終息して安心できる平和な世の中になっても悩みは尽きません。反対に、不安を感じにくい人は、コロナだろうが何だろうが、ほとんどの問題を自己解決できちゃうことが多い。不安の重みって、それくらい人によって違うんです。でもね、考え方次第で不安を吹き飛ばすことは、誰だってできるんですよ。

コロナ禍でわかったストレスに「強い人」と「弱い人」、その決定的な違いとは?

――『1秒で不安を吹き飛ばす言葉』を出したのも、その違いを伝えたかったからなんですね。

精神科医Tomy そうそう。私だって、イライラすることがまったくないわけじゃないですよ(笑)。でも、とりあえず今日もご飯を食べてベッドで寝られるんだから、まあいいじゃないって、気にしないタイプなんです。そんな風に、余計な不安を感じないための考え方をみなさんにお伝えしたくて、ツイッターをはじめたらフォロワーがどんどん増えたので、特に反響が多かった言葉をまとめたのがこの本です。

 ただ、不安は不安でも、コロナの不安は別ですよ。だって命にかかわることでしょ。危険を回避して生き延びるためにも、コロナ感染に対する不安は不安としてしっかり感じなきゃダメです。

――はい。今も買い物に行くのも怖いですし、お金や宅配便の段ボールを触るのも心配で、除菌シートや手洗いが欠かせません。

精神科医Tomy そうよね。不安のあまり食品や生活用品を買いだめした人を、非難する声もありましたけど、そっちのほうがおかしいと思います。自分や大切な家族を守るために、なくなるかもしれない必需品を多めに買いたくなるのは当たり前のこと。その行為を責めて正義ぶったり、クレームをつける人のほうが、よっぽど怖いくて心が狭い人間だと思います。

 残念ながら、コロナの二次的な不安が強まると、そういうふうに人を攻撃したり、イライラをぶつける人が増えます。コロナの不安はコロナが収束することでしか解決できませんけど、二次的な不安の対処法はあるんですよね。だから私も毎日3回くらいは、コロナの二次的な不安を吹き飛ばす言葉をツイッターでつぶやき続けているところです。

コロナ禍でわかったストレスに「強い人」と「弱い人」、その決定的な違いとは?