屈辱すら感じる
直接雇用との格差

 Aさん自身の事情に言及するなら、彼女の夫は医療従事者。同じくエッセンシャルワーカーなので休むことはできない。子どもは中学生なので、小学校などの休校を対象にした助成金は適用されない。「中学生とはいえ、ずっと自宅にいるわけですから、本当は私か夫のどちらかがそばにいてあげたい。ここでもまた制度の狭間に陥ってしまった感じがします」とAさんは言う。

 在宅ワークが進む中でも、保育園全体で見れば、登園する子どもたちがゼロになったわけではない。直接雇用の保育士たちは勤務日数を半分ほどに減らしながら、エッセンシャルワークを担う家族の暮らしを支えていた。この間、さまざまなメディアを通し、保育士たちが使命感を抱きながら奮闘する姿も見聞きしてきた。

 かたや自分たち派遣保育士は派遣会社との不毛なやり取りに明け暮れ、「ダラダラと出勤を続けるしかなかった」。不安定な雇用形態や給与・待遇面での格差以上に、コロナ禍で明らかになった屈辱的な差別であった。

「保育士は国家資格です。私はこの仕事が好きで頑張って資格を取りました。泣き寝入りしたくはありません」

 コロナ禍を受けた緊急事態宣言は「出口段階」を迎えました。ここから先の課題は、コロナショックで打撃を受けた仕事への対策です。ダイヤモンド編集部は、アフターコロナ時代の雇用や賃金をテーマにアンケートを実施しています。https://bit.ly/diamond_coronaから、ぜひご回答をお寄せください。