上下階の騒音トラブル、ゴミ置き場の清掃問題、大雨による浸水、欠陥工事、管理費等の値上げ、大地震の被害……。分譲マンションに住む人にとって、悩みや不安はつきません。
さらに、新型コロナウイルスによる外出自粛で在宅勤務になり住環境の重要性に気づいた人も多いことでしょう。
『マンション管理はこうして見直しなさい』では、「うちのマンションは大丈夫だろうか?」と感じている多くの人に向けて、マンション管理のプロである著者が、イライラや不安、疑問などの問題をわかりやすく整理して、解説。
今回、本書の中から紹介するのは、「役員のなり手がなかなか見つからない。どうしたらいい?」というテーマ。資格を緩和したり、役員報酬を設けたり、輪番の辞退者に協力金を求めたり、いろいろな対策を組み合わせていきましょう。
報酬制度の導入も検討する
分譲マンションにおける管理トラブルというと語弊がありますが、管理組合の役員のなり手不足も深刻になってきています。
若い世代の区分所有者は仕事や家事、育児で忙しく、また高齢になると身体の不調や病気がちになることもあります。そもそも管理組合の役員はボランティアであり、管理の重要性に対する理解と認識がないと、なかなか積極的に関わろうという気にならないということもあるでしょう。
役員のなり手が少なくなると、特定の人ばかりに組合運営の負担がかかり、例えば毎回、理事会への出席者が不足し、理事会が機能しないといった事態にもなりかねません。
国土交通省が作成・公表している「マンション標準管理規約」は2011年、外部に居住している区分所有者でも役員になれるよう、資格要件を緩和するよう改正しています。こうした役員の資格要件の緩和はひとつの方策でしょう。
管理規約で定められている役員の定数を減らすことも考えられます。役員の定数を減らせば、輪番で役員が回ってくる年数が延び、理事会の出席定数が下がって流会のリスクも減ります。
こうした対策と同時に検討したいのが、役員の負担をカバーする報酬制度の導入です。管理組合の役員はボランティアですが、プライベートの時間を割いてマンション全体のために活動するのですから、これからは役員報酬が当たり前になっていくのではないでしょうか。また、輪番制でありながら役員を辞退する区分所有者から、協力金を徴収するという方法もあります。
こうした対策とともに、管理組合に関心を持ってもらうことも大切です。避難訓練や季節ごとのイベントなどを行い、住民同士の交流を深めたりする工夫も欠かせないでしょう。
(本原稿は、ソーシャルジャジメントシステム編、廣田晃崇著『マンション管理はこうして見直しなさい[新版]』からの抜粋です)