2.企業・組織が行う
従業員の感染疑いおよび感染時の行動ルールの徹底
上述したような感染予防と合わせて、疑わしい症状が出た時の対処と会社のルールも併せて周知徹底することが必要です。ルールがない、あるいは十分に伝わっていなかったために、感染が拡大するケースがあります。
例えば、決められた症状(発熱、せき、息切れ、味覚臭覚異常)があった場合には、上司に連絡した上で、自宅で待機する。また同時に、国や自治体(保健所)の相談窓口に相談し、指示に従うこと、状況を上司に報告すること。自宅待機を解除する条件設定、家族の感染があった場合の対応なども、教育周知の一環として含まれていなければなりません。社内で新型コロナウイルス専用のヘルプデスクを設けることも検討してください。
3.従業員全員が行うオフィスの衛生状態の維持
次に従業員がオフィスに出社している状況を考えてみます。新型コロナウイルスの感染者には、最大14日間におよぶ潜伏期間があるといわれており、いつ症状が表れるか分かりません。そのため、組織には感染発生リスクに応じた対応が要求されます。
オフィス内で感染者が出ていない状況では、まず、社員が会社に出社するタイミングで、入口手前での手指消毒を行ってもらいます。また2、3時間おきなど定期的に、オフィス内の消毒を行います。特に不特定多数が触れるエレベータのボタン、ドアノブ、机、椅子、電話機(受話器とボタン)などを、60%以上のエタノールや次亜塩素酸ナトリウムで消毒します(※次亜塩素酸ナトリウムは金属腐食にご注意ください)。
もし一人でも感染者が発生したなら、毎朝出勤時と毎夕退勤時の2度、出社している全従業員の検温を追加します。この時、後に陽性が判明した場合に備え、濃厚接触者に緊急連絡が取れるような仕組みを導入する必要があります。
4.高リスク者の洗い出しと対応
新型コロナウイルスの高リスク者とは、感染後に重篤化しやすい、65歳以上の高齢者、および心血管疾患、肥満、糖尿病、高血圧、腎臓病などの生活習慣病、がん、慢性呼吸器疾患を持病として持っている人と、ここでは定義します。
役員を含む全従業員に対し、高リスク者とそれ以外に分け、高リスク者にはより徹底したリスク回避策を講じます。高リスク者にはテレワークを優先的に実施させることや、オフィスのレイアウトに工夫を施して感染リスクを下げる方法などが考えられます。
組織として、オフィス内に感染者を出さないことが100%は不可能でも、感染拡大を防ぐことができるかどうかで、危機管理部門として、企業として、大きな評価を受けます。
現在、物理的に感染防止対策のための用具や消毒剤が入手困難であっても、今できる教育や仕組みなどはためらわず全て導入し、実行しましょう!
(プリンシプルBCP研究所 所長 林田朋之)