コロナ不況で拡大!定年格差#1Photo:Klaus Vedfelt/gettyimages

実はコロナ前から、従来型の定年システムは崩壊した状態にあった。本特集『コロナ不況で拡大!定年格差』(全5回)の#1では、ダイヤモンド編集部が行ったアンケートの結果から、かつてとは様変わりした定年意識をひもとくとともに、独自に算定した家計シミュレーションを通じて働く中高年のタイプを六つに類型化した。“老後破綻”を来さないために、まず自分がどのタイプに近いのか知ることが大切だ。

「週刊ダイヤモンド」2020年5月23日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

夏のボーナス激減だけでなく
「大失業時代」が危惧される

 新型コロナウイルスの影響で、世界中の経済環境が激変している。日本も当然、例外ではない。企業の業績悪化が響き、目先では今夏のボーナスが激減する人も多いはずだ。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングによれば、今夏の民間企業(事業所規模5人以上)のボーナス支給額は、昨夏に比べ7.6%減と、リーマンショック以来の大幅な落ち込みが予想されている。企業規模や業態によっては半減したり、全く出なかったりする人も多いはずだ。

 ボーナスどころか、足元では雇用危機の懸念すら高まっている。米国では既に、4月分の雇用統計で失業率が戦後最悪の14.7%まで悪化した。

 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストの試算によれば、日本でも失業者が新たに265万人、戦後最悪の失業率6%台という「大失業時代」の到来が危惧されている。

 さらに、政府が対策を打っているとはいえ、中小企業などで資金繰り破綻が連鎖的に広がる懸念も根強い。民間調査会社によれば、既に200件超の「コロナ破綻」が発生した。倒産に至らずとも、今後、業績悪化に伴うリストラの増加は不可避の情勢だ。

 このように不安材料が山積しているわけだが、収入減が家計をむしばんだ先、真に危惧されるのは、実は多くの人が後々の老後生活に支障を来す「定年危機」に直面しかねないことである。