「プレゼン力のある子」の親がしている5大習慣Photo by Adobe Stock

新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。子どもたちにとっても、これからはオンライン授業が広がるなど学習スタイルが変化し、社会に出るまでに習得すべき能力も、親の時代とはかけ離れて変化していくことが考えられる。そんな変化の激しい現代において「親は子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる人は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学、生理学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材を元に「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
「コミュニケーションの取り方」から「家での勉強のしかた」「遊び」「習い事」「ほめ方・叱り方」「読書」「英語」「スマホ対策」「ゲーム対策」「食事」「睡眠」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー。100の「してあげたいこと」を実践するにあたっては、さらに詳細な「421の具体策」も提示し、理屈だけでなく、実際に何をどうしてあげればいいのかということまで丁寧に落とし込んでいる。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめ上げた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋して紹介する(取材協力:一般社団法人アルバ・エデュ、竹内明日香代表理事)

プレゼンは練習すれば誰でも身につく

 日本人の多くが人前で話すことに苦手意識をもっています。ところが約1万9000人にプレゼン教育を行なってきた一般社団法人アルバ・エデュの竹内明日香代表理事は「プレゼンがうまいかどうかは能力でもセンスでもなく『技術』であり、筋トレや楽器の稽古のように練習さえすれば誰でも上手になれる」と言い切ります。

 たとえばアメリカでは、小さなころから人前で意見を発表する機会を多く与えられ、徹底的にプレゼン力を鍛えられます。代表的なのが、幼稚園や小学校で日常的に行なわれている「Show&Tell」の時間です。

 この授業では、子どもは自分のお気に入りのものを学校へもっていき、クラスメイトや先生の前で、「これは何か」「どこで手に入れたのか」「どこがお気に入りか」などをプレゼンします。プレゼンが終わって先生が聞き手の子たちに「質問は?」と尋ねると、次々と質問が出てきます。

 話し手はしっかり準備をし、練習し、プレゼンをして質問に答え、聞き手はよく話を聞き、質問する。双方向の練習によってプレゼン力が鍛えられていきます。

 2020年から施行される新しい学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」という学び方が重視され、子どもたちのプレゼンの機会も増えていきます。家庭でのちょっとした習慣も、子どもたちのプレゼン力を育み、自信につなげることができます。

 では、家で「プレゼン力」を鍛えるにはどうすればいいでしょうか?

【その1】食事をしながら対話する

 プレゼン力を磨くには、楽器のように日々練習するのが効果的です。そこで、食事の時間を有効活用します。ごはんを食べながら、「どんな1日だったか」「いちばん面白かったことは何か」など、テーマを決めて話をします。

「子どもの話がいまひとつ理解できないときは、最後まで聞いてあげてから『こういうことが言いたかったんだよね?』と内容を再確認してあげるといい」と竹内氏は言います。さらに「それ、いいね」や「面白い!」といった相づちを入れると、子どものやる気がアップします。

【その2】しっかり声を出す癖をつける

 せっかくのプレゼンも聞こえなければ意味がないので、ふだんからしっかり声を出せるように練習しておきます。子どもの声が小さくて話が聞こえないときは聞き流さず、「聞こえないよ~」と声をかけるようにします。

【その3】目を見て話す

 演説の天才といわれたオバマ前大統領の大統領就任演説は、聴衆への「アイコンタクト」の時間がスピーチ全体の約半分を占めていたといいます。親自身もふだんから子どもの目を見て話したり、聞いたりすることを心がけます。

【その4】「語彙力」を高める

「プレゼンは語彙が豊富なほうが圧倒的に面白くなる」と竹内氏はいいます。日常の読書習慣などで語彙が豊富になると表現力が高まり、プレゼン力もアップします。

 子どもがふだん使わないような熟語や言い回しも、会話の中でたまに投げかけておくと子どもの記憶のどこかには残るので、ときには高めの球を投げることを竹内氏は勧めています。

【その5】「型」を教えてあげる

 急に「プレゼンをして」と言われても戸惑ってしまうかもしれませんが、全体の構成に「型」があると話しやすくなるものです。たとえば、「はじめ」「なか」「まとめ」の型を使って話すと、プレゼンがしやすくなります。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』からの抜粋です)

加藤紀子(かとう・のりこ)
1973年京都市生まれ。1996年東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、子どものメンタル、子どもの英語教育、海外大学進学、国際バカロレア等、教育分野を中心に「プレジデントFamily」「ReseMom」「NewsPicks」「ダイヤモンド・オンライン」などさまざまなメディアで旺盛な取材、執筆を続けている。一男一女の母。