中国は、西側諸国とは異なる社会主義国家であり、新型コロナが監視システムにより見事に封じ込められました。一方で、アメリカ、イギリス、フランス、イタリアなど欧米の大国は、封じ込めに関しては惨敗しました。そこで、アプリによる監視に政府が関心を持ち始めているのです。さきほど紹介したイギリスだけでなく、フランスもアップル/グーグルAPIは採用していません。

 フランス、イギリスともに、国内にテロの潜在的なリスクを抱えていることから、表向きは中国政府を批判するスタンスをとりながら、どうやら中国の都合の良いところは学んで吸収しようという考えが見え隠れしています。世界の主要国トップには、デジタルチャイナへの誘惑が広がっているのです。

たとえ夜の街で感染しても
原因は通知されない

 今回、日本でリリースが開始される接触確認アプリは、このような動きを封じる意味で、世界中のエンジニアがデータを監視に利用できない形での開発を目指した経緯があります。アップル/グーグルAPIは、その思想をうまく引き継いだようです。

 このアプリが機能して、これから先危惧される再流行を抑え込むためには、国民の過半数、できれば大多数がスマホにこのアプリをダウンロードして、お互いの接触情報がつながるようにすることです。

 この仕組みが機能すれば、新型コロナのクラスター対策班が行った「感染者が過去2週間、どこで何をしていたのか」という位置情報の収集は、接触者炙り出しにとって必要なくなるはずです。このアプリでは、Bluetoothを通じて感染者のスマホが自分のスマホの2m以内に15分程度いたと判断したら、感染リスクをアラートしてくれる仕組みで、どこで接触したかの情報は排除されています。

 よって、本人が感染を隠しているケースをアプリが炙り出してくれる一方で、「うっかり夜の街で」「合コンをやってしまったら」といった、感染の原因に関するプライバシーは守られるわけです。

 現実にクラスターが発生した場合に、そのクラスターの現場に一定時間いた人全員にアラートが通知される。どこの繁華街のどのホストクラブにいたかという情報は政府には伝わらず、ただ「あなたのいた場所のすぐ近くにいた人が感染したので、PCR検査を受けてください」という通知がくる。そして、濃厚接触した可能性がある人がその事実を知り、病院ないしは保健所に連絡をすれば、社会全体においてコロナの予防になるわけです。