「接触機会5割」実現の可否は
国民に意識を持ってもらえるか
――「接触機会5割」を実現するには、何が最も大事になるか?
一番は、国民の皆さんにしっかりと「接触機会を5割にする」という意識を持っていただけるかどうか、だと思う。
私はこの話をさまざまな場所でする際に、日本は国民の皆さんを信頼できる国だからこうした戦略が採れるのだと申し上げている。6月19日に接触確認アプリが日本でもリリースされるが、これは中国や韓国のように個人情報や行動履歴を把握するものではない。日本では、民主主義を大事にする形で、出口戦略を進めるべきだろう。
――それでも接触機会が制限される中で、経済的影響を受ける企業もある。今後どのような支援を行うべきか。
経済的な被害を最小限にするべく「接触機会5割」を提言しているため、影響を受ける業界は極力少なくなると考えている。それでも生まれる経済的な被害については、減収補償のような形での支援が必須だ。
今回、第2次補正予算でも非常に大型の予算を組み、今回の危機に活用できる予備費10兆円を計上している。ニューノーマルの時代の変化の中で、どうしても影響を避けられない企業や個人には、こうした予算で経済支援していきたい。
渡航制限の解除によって
感染予防の努力が水泡になる恐れ
――社会経済活動の再開には、渡航の再開も重要な要素になる。渡航制限については、どのように出口戦略を考えるべきか。
厳しい話になってしまうが、渡航の再開は難しい問題だと思っている。インバウンド需要を取り込むために、日本はこの数年で尽力し、とてもよい結果をもたらしてきた。しかし、このような状況下で渡航を開き、他国からの感染者が流入することになれば、日本国内での流行が再燃する恐れがあり、再び自粛を強める事態になるだろう。そうなれば、緊急事態宣言下で、国民の皆さんが行った感染予防の努力が水の泡となる。
したがって、感染が流行している国、地域に対しては、経済性ではなく感染拡大防止を重視する観点からの対応が必要であり、渡航制限は継続すべきだろう。だからこそ今は、内需主導型の経済を作らなければならないと考えている。